工事が終わった吹屋小学校の校舎
2022年4月に耐震工事を終えて観光施設としてリニューアルした旧吹屋小学校を見学してきました。
少し工期が延長していたこともあり、随分と久しぶりに校舎を見ました。
お、いいですね。
以前と全く変わりません。貴重な歴史的建造物なので見た目が変わらずに工事が終わっている事にまずホッとします。
しかし以前訪れた時は少数とは言え生徒がいて、楽しそうな声が響いていた事を思うと少し寂しい気もします。
立派な建物であろうとなかろうと、やっぱり学校は現役の頃の方が心惹かれます。
吹屋小学校について
吹屋小学校は1873年に開校しました。
当時の吹屋は吹屋銅山やベンガラで栄える鉱山町でした。
それを象徴するように1900年に建てられた西校舎、東校舎、そして今回見学してきた本館(※本館は1909年竣工)は多くの児童を収容できる広さがあり、そしてとても立派な建物です。
現在まで建物がしっかり残り、そして観光施設として転用されたのは町が潤沢な資金で建築した為でしょう。
小学校の隣には中学校もありましたが、先に並行しています。校舎は解体されましたが、敷地に木材を再利用して宿泊施設のラ・フォーレ吹屋が建てられています。
昭和に入ると銅山が休山。戦後に再開するも1972年に閉山。1974年にはベンガラの生産も終了します。
吹屋は観光産業に切り替える事で町の賑わいは保てましたが、多くの人が離れていきました。
人口減に伴い前述の中学校が1989年に成羽中学校と統合。小学校も2011年度で廃校になりました。
廃校時点では現役の木造校舎としては国内最古でした。
県内の校舎跡では真庭市の旧遷喬尋常小学校校舎も人気ですが、実は今回見学する吹屋小学校の本館よりも古い1907年竣工です。成羽から近い場所ではありませんが、こちらも合わせて観光しておきたいスポットです。
関連リンク:旧遷喬尋常小学校校舎(岡山の街角から)
吹屋小学校見学
では建物の中を紹介していきましょう。
施設は有料になっており、小中学生が250円、それ以上は500円です。
受付に備中松山城のさんじゅーろー。
これまで吹屋観光に高梁市の他地区を思わせるものは少なく吹屋の独自路線を辛い抜いている印象でしたが、今回のリニューアルからはオール高梁で取り組むような感じなのでしょうか。
受付の方が非常に明るい方だったのも印象的です。
県内外の他の校舎跡と比べるて随分と雰囲気が異なります。写真の可否を聞くとぜひSNSに投稿をお願いします!と言われ、さんじゅーろーなどの人気の写真スポットを教えて下さいました。
受付の方に教えて頂いた隠れスポット?の1つはこちらです。
吹屋小学校スリッパ。
こういう備品1つにしても力が入っています。
閉校後の一般公開は予定が合わずに行けませんでしたが、工事を待った甲斐がありました。
校舎内は非常に美しい状態が保たれています。
私は現役時や工事前に中に入ったことがないので比較は出来ませんが、恐らく元々の状態も良かったのでしょう。
あちこちに解説の看板が置かれているので、建築に詳しくない人でも安心して見どころを押さえられます。
教室は基本的に展示室に転用されていますが、このように往時のままで残されている場所もあります。
ところで見学者の中で意外と話題になったのがランドセルの場所です。
何組かの観光客同士で話していたのですが、机の後ろに掛けるスタイルは初めて見たという人ばかりでした。
私の通っていた学校は机の横にあるフックに掛けていました。同様の人が多く、他には教室内にあるロッカーに入れたり、教室の後ろに専用のフックがあってそこに掛けていたという人もいました。
皆さんの通っていた学校ではどうでしたか?
展示はこのような感じになっています。
小学校で使われていた備品などもありますが、展示の内容からすると恐らく「郷土資料館」と呼ぶのが最もフィットするのではないでしょうか。
学校の近くの銅栄寺で用いられていた鐘も展示されていました。
これは以前から是非見たいと思っていた物なので嬉しかったです。
右側の鐘の真ん中の辺りに三菱マークが有るのが分かりますか?
三菱の岩崎弥太郎の三菱商会(元・三菱金属)が吹屋銅山の運営をしていた名残です。
吹屋ふるさと村の中にある本山山神社にもスリーダイヤモンドがあります。
写真可とはいえ有料施設なので、展示については余り紹介せずにおきます。
ぜひ見学してみて下さいね。
関連リンク:旧吹屋小学校(岡山の街角から)