倉敷市でレトロな雰囲気の商店跡を見かけました。
名前は「尾原共同店」です。

共同店とは地区の人々が共同で出資、運営をするスタイルのお店の事です。尾原という店の名前も、店の所在地の地名と同じです。
感覚的には生協の小規模版といったところでしょうか。

普通のお店のような所もあれば、共同購入の窓口くらいの運用のところもあるそうです。
ここは見る限り普通の商店として運営されていたのでしょう。

窓から覗いてみた店内の様子はこちら。

昔ながらの小さなスーパーといった感じです。
什器が残されています。閉店度は特に使用されていなかったのでしょう。

お店の周りには古い看板やシールが残されています。

ドリンク。
白化して内容は見えませんが、このロゴはオロナミンCでしょう。

こちらはフィルムの現像。
デジカメが無い時代はみんなフィルムを写真屋や、こういう窓口になっているお店に持っていったものです。

続いてはお店の2階に掛けられている瀬戸内パンの看板です。
これがよく分かりませんでした。初めて見る名前です。

ネットで検索しても「瀬戸内パン」でそられらしい物はヒットしません。
唯一これかな?と思ったのが中国フジパンです。

wikipediaにこのような記載があります。

当社はフジパングループの子会社として主に中四国地方においてパンの製品を製造販売している企業である。昭和37年に瀬戸内製パン株式会社として設立、主に学校給食向けのパンを製造していた。昭和56年1月、フジパンと業務提携、社内にフジパン岡山販売部が開設された。その後フジパンの傘下に入り、完全子会社となり中国フジパンに改称された。(出典:wikipedia「中国フジパン」)

詳細は後述しますが、このお店の開業は1970年以前です。
まだフジパンとの業務提携前、会社名も瀬戸内製パンだったはずです。
ブランド名として瀬戸内パンを使っていた可能性は充分に考えられます。共同店の規模を考えても、県内のメーカー、しかも倉敷から仕入れていたというのは納得できます。(※尾原は1959年まで旧郷内村、1967年まで旧児島市、それ以降は倉敷市)

さてお店の開業時期に少し触れましたが、その証拠になるのがこの看板です。

コカ・コーラの看板です。
下に和訳で「飲みましょう コカ・コーラ」という記載があります。
和訳ではそういう感じだったのですね。もっとフランクな感じかと思っていました(笑)

閑話休題。

コカ・コーラの看板は余りデザインが変わっていないように見えますが、実は微妙に変化し続けています。
この看板にある「DRINK」の単語。全て大文字で記載されているのは1957~1970年までです。
なのでこの看板がある尾原共同店の開業は1957~1970年までの間ということが分かるのです。
ちなみにお店の全体写真に写っている店内にある自販機の方は1987年から使用されているロゴで、これは現在でも使用されているようです。

その手前にある看板の「ゆワイター」は太陽熱温水器です。
屋根の上に貯水槽と集熱板を設置することでお湯を作るというアイテムで、現在は生産終了品です。
ガス代の節約や安全性を売りにした製品だったようです。

最後はこちら。
フットワークの看板です。かつては日本を代表する運送業の会社の一つでしたが、2001年に倒産しました。
会社更生法で会社債権に向けて動き出しますが、2009年にトールホールディングスに買収され、更に2015年にはトールホールディングスが日本郵便に買収されたので現在は郵政グループの企業になっています。

倒産後も暫くはフットワークのコンテナで走るトラックを見かけましたが、最近はもう見かけなくなったような。
これも徐々に懐かしいという言葉で語られていくことになるのでしょうね。

ところで閉店時期については良く分からなかったのですが、お店の外側にもう一台自販機が残されています。(※非稼働)
自販機で販売されていた飲み物の缶のデザインが1998年前後なので、閉店もその頃だったのかも知れません。ただし閉店後も自販機だけは稼働していたという可能性や、逆に自販機が先に稼働終了した場合もあり得るので、やはり閉店時期は曖昧にしておきましょう。
外にあった自販機は明日の話題にしますので、もしよければ御覧ください。




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