金山寺 防火体制不備で改善命令 火災報知器の配線断絶、作動せず(https://www.sanyonews.jp/article/1016549)
2020年5月28日、岡山市消防局が岡山市北区の金山寺に対し、防火体制の不備で改善命令を出していたことが明らかになりました。
概要
金山寺が金山寺の三重塔と山門の自動火災報知器が断線して作動しない状態になっていました。
岡山市消防局では約20年前からこの状態を把握しており、これまでに40回以上の指導や警告を行ってきました。
しかし改善されない事から、今回は改善命令を出すことになりました。
期限は8月27日まで。
同寺では「費用の捻出が難しく先送りにしてしまっていた」と話しています。
三重塔は岡山県指定の重要文化財、山門は岡山市指定の重要文化財であることから今後は両者も交えて対応する方針です。
金山寺は2012年に国指定の重要文化財だった本堂を火災で焼失しています。
この記事を見て驚いたのですが、20年前から把握していたということは火災以前から消防施設に不備があった事は消防局が把握し、恐らく指導や警告も行われていたのでしょう。
その時に対応していれば…と、悔やまれます。
文化財とお金
まずは金山寺の山門の写真を御覧ください。
これが2019年の山門の状態です。
市の重要文化財に指定されるだけの迫力がありますが、それ以上に痛み具合が目立ちます。
山門を支えているであろう木材でさえボロボロの状態です。
前述の通り金山寺は2012年の前住職の時代に本堂が火災で失われています。(関連リンク:金山寺と焼失した旧本堂)
仮のお堂を建て、寄付を募ったりお守り類を充実させるなどして本堂の再建を目指している状態です。
三重塔と山門は文化財に指定されているので、所有者が負担するのが厳しい場合は補助金の申請をして、県と市が一部を負担する制度があります。
しかし住職のコメントから察すると、一部を負担してもらうだけでは厳しいという事なのでしょう。
税金なので軽はずみな事は言えませんが、なんとか必要な措置が取れる費用を捻出できるようにして欲しいです。
日本の仏教は葬式仏教と呼ばれるように、葬式や法事などが中心になりつつあります。
金山寺は人家の少ない金山の山腹に位置するので、恐らくそうした収入も得づらい状況なのではないでしょうか。
今回はたまたま金山寺の話題ですが、これは全国各地の寺院や、もちろん神社で生じている問題です。
所有者が対応していくのは当然ですが、指定した側も文化財を守っていくための対応を考えていかなければならない時代になっているのだと感じました。