鏡野町の町役場の隣にある近代的なデザインの建物。
これはペスタロッチ館という建物です。この中に町の公共施設が集められています。
一番大きな施設で言えば図書館、そして郷土博物館も入っています。
貸しホールや会議室も準備されているので、文化センターとしての役割も果たしています。
建物の中もなかなか手が込んだデザインです。
…で、ペスタロッチとは何ぞや?と思いながら見ていると、庭に答えがありました。
子供たちと親し気に話すこのオッサン、ヨハン・ハインリヒ・ペスタロッチという人物です。
スイスの教育学者で日本の教育界に大きな影響を与えました。鏡野町ではペスタロッチの掲げた「知・徳・体の調和的発達」という教育理念に共感し、日本のペスタロッチタウンとして町おこしを進めていた時期があります。
文部科学省の徳育についての解説の中で、「教育の目標を、知・徳・体の調和のとれた発達を基本に、自主自律の精神や、自他の敬愛と協力を重んずる態度、自然や環境を大切にする態度、日本の伝統・文化を尊重し、国際社会に生きる日本人としての態度の養成と定めている」とあります。
日本の教育の根底にペスタロッチの思想があるのですね。
知は知識、徳は豊かな人間性、体は健康な肉体ですね。学校というシステムで言えば知があれば上に行けてしまいますし、知に偏っていた時代もあります。現代では徳も重視されるようになってきましたね。体については言わずもがなですが、外で遊ぶ機会が減ってきている子供たちにとって、学校の場での体を鍛える機会というのは重要度を増しているのかも知れません。
ただ現在ではこのペスタロッチ館の存在以上にペスタロッチタウンを推奨するような動きも見られませんでした。
2005年には市町村合併で、名称こそ変わっていないものの、鏡野町も新・鏡野町に移行しています。教育方針なども前身となる町村との調整が必要になるでしょうし、その辺りでペスタロッチタウンという町づくりも方向性が変わったのかもしれません。
しかし建物の名前がペスタロッチ館のままですし、完全に途絶えた物でもないのでしょう。
妙におしゃれなロゴなので、最初に見た時はイタリアンレストランか何かかと思いました。ちなみに食堂はありません。
この辺りは食事が出来るお店が少なくて、空腹を抱えていた私は困ってしまいました。
後で調べたら苫都(とまと)という人気の喫茶店がありました。次に鏡野町に来る時は行ってみようと思います。
しかし苫田郡の中心部である鏡野町役場の近くに苫都とは、なかなかセンスのある名前ですね…!