少し前にサイトの資料として「日本怪奇名所案内」という、全国の心霊スポットを紹介する本を購入しました。
1976年出版の本ですが、せっかく購入したので幾つかスポットを紹介してみたいと思います。
今回は公共施設の怪、5回目です。
墓石に消え入る喪服の女(千葉県)
千葉県松戸市上本郷にある寺院での怪談です。
寺院名は明記されていませんが、北松戸から徒歩圏内で墓地のある寺院となると上本郷では本覚寺か本福寺くらいでしょうか。残念ながら特定に至る情報はありません。
さてこの怪談は著者自身の元へもたらされたものです。
著者の息子は妻と死別しています。妊娠しており、いよいよ分娩という時にくも膜下出血で亡くなったそうです。
今回の霊はこの女性ではないかと見られています。
ただし目撃したのは著者とも亡くなった嫁とも面識のない老紳士です。
彼は写真が趣味で撮影している内に寺院の墓地の近くに来ました。
そこで若い黒い着物を着た女性も目撃しました。
彼女は両手に赤ちゃんのものと思われる小さな骨壷を持っていました。
そしてある墓石の前に行くと、男性に会釈しながら消えてしまいました。
これに驚いた老紳士は寺に事情を話し、赤ちゃんと一緒に死んだ若い女性はいなかったかと尋ねました。そして女性が消えた墓の辺りに行くとまさにその墓が前述の嫁だったそうです。
老紳士は女性から赤ちゃんと自分を別の骨壷に収めてほしいというメッセージを感じ取ったそうで、それを著者に伝えに訪れたのです。
ただしその日は著者は留守。自分は年を取っているからもう来れないかもしれないと、近所の人に言付けて行きました。
そしてその後、再び老紳士が訪れることはなかったそうです。
なんとなくですが、その老紳士自体もこの世のものだったのか?と疑いたくなるような怪談です。
余談ですがこの亡くなったお嫁さんは納骨までにも様々な形で現れたそうで、著者の別の本に紹介されているそうです。
もしかすると今回の骨壷のことが気になって成仏できなかったのかもしれませんね。
火葬場後に出る早起き幽霊(徳島県)
現在は吉野川市を形成している徳島県麻植郡山川町の怪談です。
山川町の旧火葬場で夜明け頃に幽霊が出るというのです。
性別こそ分からないものの、白いシャツを着たような幽霊がはっきりと見えるそうです。
そして目撃したのは複数人に及びます。
そもそもなぜ旧火葬場の建物を残してあるのかというと、取り壊そうと提案した町会議員が軒並み亡くなってしまい、取り壊すのが恐れられているのだとか。
その建物には炉が故障した為に仕方なく遺体を野焼きにしたり、待合室で自殺した女性がいるという話もあったそうです。
余談ですがこの階段の最後には地元記者の話として、何故か今回の話と全く関係のない話が記されています。
全く無関係の話を差し込む流れのほうが、個人的には「なんで!?」と怖く感じました。
この記事を書く際に検索してみたところ、それらしい建物はヒットしませんでした。
きちんと供養するか何か対策を打って取り壊したのでしょう。
大久保 清に殺された女の幽霊(群馬県)
群馬県前橋市の敷島公園付近に出るという幽霊の怪談です。
先に大久保 清について解説しましょう。
大久保 清は1971年にわずか1ヶ月半程度の期間で8人の女性を殺害した連続殺人犯です。
彼は既婚者でありながら強姦致傷事件を起こして刑務所にいました。
出所してからなんとか妻とよりを戻そうとするも家族の反対で上手くいかず、自暴自棄になって事件を起こしました。
100名を超える女性に言葉巧みに声をかけ、10人以上の女性と関係を持ち、発覚しているだけでその内の8人を殺害しました。
ロシアの血を引いていてハンサムだったことや、最新のスポーツカーに乗っていたことから、わりとモテたようですね。
その後、敷島公園で被害者の霊が出るという噂が立つようになりました。
ただし厳密には敷島公園で殺害されたり、遺体が遺棄されたような事実はないそうです。
この本に紹介されているのはカップルが車でいちゃついている時にびしょ濡れの幽霊が出たという話しで、概ね敷島公園での怪談はこのパターンか、血まみれの女性というパターンのようです。
ただしこの本の怪談で特筆すべきは女性を目撃した時期というのが事件発覚の1ヶ月前のことだったということでしょうか。
内容が女性を水を求めた等、後に噂になる内容と同じなので、後から「実は事件発覚前に見たんだよ」と話を膨らませたと見るのが正解なのかもしれません。
…と、長くなってきたので今回はここまで。
また徐々に追加していきましょう。
この本の他のスポットについてはタグの「日本怪奇名所案内」をご確認下さい。