先日、備前市の福生寺にお参りしてきました。
県内どころか中国地方のくくりでも有数といえるほどの古刹で、その起源は奈良時代までさかのぼると言われています。
現在、福生寺自体は法人格を持たず、塔頭である実相院、西法院、福寿院が福生院の管理・運営に当たっています。
今回訪れたのはそのうちの一つ、福寿院です。といっても、他の実相院、西法院もすぐ近隣にあるので一緒に回ってきたのですが。

福寿院は福生院の参道のすぐ横側にあり、恐らくお参りに来た人が一番最初に目に入る塔頭でしょう。
宗派は真言宗、そして山号は大滝山。この部分については福生院や先に挙げた塔頭すべてに共通します。最盛期には33の塔頭があったそうです。この辺り一帯が宗教都市として栄えていたのでしょう。
明治時代に入った時点でも13あったと伝えられますが、今は3つまで減少。時代の変化とはいえ若干寂しさを覚えます。
葬式仏教というと批判的な表現に聞こえるかもしれませんが、寺院の主要な収入源としてはやはり葬儀、そしてそれに伴って行われる法要が大きなものになります。
なので一部の観光などで収入を得ているところ以外は、檀家の数というのが寺院の存続において重要なポイントになります。
その点では長い歴史を持つ大滝山の寺院とはいえ、山中で麓におりても香登や大内といった決して人口の多くない地区に所在している寺院で13もの塔頭が食べていくというのは容易ではなかったのでしょう。
閑話休題。
福寿院にお参りしようと小ぶりながらも立派な石橋を渡ったところで、このような注意書きが目に入りました。
実は塔頭三つの内、西法院は境内や参道に多くのアジサイが植えられた「アジサイの寺」として人気を集めているのです。
同じ大滝山の寺院で、特に福寿院と西法院は隣接する位置関係にあります。恐らく多くの人が誤ってお参りしたのでしょう。
このネットで情報があふれる時代に、そんなことある?と思う人もいるかもしれません。
ご覧ください。

この口コミを投稿した人は2,800件近くの投稿をしている旅慣れた人物です。それでも間違えるのですから、やはりややこしいのでしょう。
更に仕事で日本に来ていると思われるベトナム人の書き込みもありました。

こちらもきっちり間違えています。
まぁ彼らはきちんとアジサイを見たうえで投稿する場所を間違えているのですが、やっぱり同じ山の塔頭というのはややこしく感じられるものなのでしょう。

ちなみに福寿院の境内はこのような感じです。
アジサイの華やかさはありませんが、わびさびを感じさせる落ち着いた雰囲気です。
これはこれでいいですね。敷地内に建物が幾つも建っていて庭園としては余り広さはありませんが、こちらの方が好きと感じる方も多いでしょう。
寺院としての歴史は福生院に沿うものになるのだと思います。福寿院単体でこれといって目立ったエピソードは見当たりませんでした。

