玉野市の小中学校再編問題。
既にこのブログでも複数扱っていますが、これから2029年度にかけて玉野市内の小中学校の統合を進め、現在の半分以下の数に集約するという方針が出ています。
それについての続報が山陽新聞から幾らか出ていたので紹介します。
まずはこちら。
実は余計にお金がかかります
玉野小中再編 運営1.4億円軽減 バス運行で1.6億円必要と試算:山陽新聞(https://sanyonews.jp/article/1651080)
小中学校の数が半減するという事で、学校の運営に架かる費用が減る…と思った人もいるでしょう。
実際に建物が減り、教職員も少なく済むようになるので年間に直すと1.4億円の削減になります。…が、実は全体で見ると現在よりも2千万円ほど費用が掛かるようになります。
その正体が学校が遠くなる生徒をサポートする為のスクールバスです。
小学生で3キロ以上、中学生で6キロ以上の距離がある場合にスクールバスを運行する予定になっています。
…が、なんせ玉野市内に小学校が6,中学校が3しかないので運行させる数が非常に多く、なんと16台のバスが必要と見込まれています。
2029年になったら、朝夕の玉野市はバスだらけになりそうですね。
それはさておき、このバスの運行にかかる費用が1.6億円です。学校を減らして浮いた分が一瞬で消し飛んで挙句に2千万円が余計にかかります。
これに関して玉野市の教育委員会のコメントは下記の通り。
再編の目的は「(経費節減ではなく)教育環境の向上だ」
これは確かにその通りなんですよね。山陽新聞の報じ方にやや毒があるというか、小中学校再編のここまでの流れで運営費の削減に焦点を当てた事は一度もありません。
ただ厳しい予算で進んでいる玉野市の財政を考えた際に、年間2千万円も追加費用が必要になるというのは痛いです。また学校の数が減った事による交付金の現象の可能性も考えられています。交付金に関してはバスの運行に費用が掛かるを理由にさほど減額にはならないのではないかと言う見方もあるようです。
しかし私が思う最大の問題は費用が高い、安いではありません。
え、運転手は確保できるの?
スクールバスが16台必要という事は、同時に運転手も必要という事になります。
体調不良などの急遽を考えれば17人以上が必要です。
運転手不足が叫ばれる昨今で、これだけの運転手を確保できるのか?という問題があります。
これ、非常に重要な問題です。
お金だけでどうにか出来るわけではなく、2029年年度までに17人を確保しなければなりません。
記事によると委託になるようですが、委託先が緑プレートで行うなら大型二種免許を持っている人を朝晩と拘束されるのは、たとえ運送業の会社でも容易ではないでしょう。
体制が揃うまでは保護者や教師による送迎を行うといった形になりそうです。
もしくは委託はやめて、玉野市でバスを用意して一種免許で行ける形を整えるか。時間に余裕のある部署の市職員らで免許を取得して手が空いている人で運転する。
夕方に一時間半くらいの時間を割くだけでOKです。
学校を減らす代わりに通学で困らないようにするというのがスクールバスを16台も走らせる理由です。
ここは早めに段取りをしておいた方が良いと思います。
卑怯なアンケート
玉野小中再編 児童アンケート実施 「9割以上から回答得た」 市教委 sanyonews.jp/article/1651690
もう一つ気になったのが、再編に関して当事者になる小学校3~6年に対してアンケートを行っているという話題です。
現時点での中学生は今回の話しの中では再編する前に卒業するので関係なしです。
小学1~2年はまだ内容の理解が難しいだろうという事で3~6年を対象としたようです。
再編内容や背景をまとめた資料で理解を深めた上で答えた
これ、北朝鮮がかつて帰還事業で行った「地上の楽園」と同じ手口です。
私自身は再編自体に関してはどちらかと言えば賛成なのですが、このやり方だけは卑怯だと思います。
玉野市教育委員会が作った資料で、子供たちに「うん」と言わせる。そして今の3~6年生を言いくるめるだけで、今後の玉野市で生まれる全ての子供たちに影響する事業を左右させようというのであればそれは卑怯です。
当事者なのが子供であるのは間違いありませんが、この問題は子供や保護者だけではなく地域で暮らす全ての人々で考えるべき問題です。
ちなみに跡地については今のところ活用案は無し。
学校が避難所に指定されているので、再利用が決まるまではそのままにしておくそうです。
つまり、電気や水道の契約をそのまま生かす…という事になるようですが、まぁもしもの時の事なので、そこまでケチるのは良くないのかもしれませんね…。
感想
と言ったところで直近で出ていた話題に触れてみました。
山陽新聞がこの話題を良く取り上げるようになりましたね。記事の論調からすると、どちらかと言えば性急すぎる動きに批判的な立場のようにも感じました。
人口動態を見れば、こうした取り組みをしないといけない事は間違いありません。
ただ2029年度までに…とか、無理が生じるスケジュールを組むのはどうかなと。
市議会の質疑では住民の意見もしっかり聞きながら進める…といった趣旨の返答をされていましたが、残されている期間を見る限りしっかり聞く気があるようには思えません。
しっかり話し合って、合意が取れたところから順次進めていく…という形で良いのではないかと思いました。