岡山市の新市民会館も随分と見慣れてきました。
徐々に新しい景色が上書きされて、懐かしい風景は忘れていくのでしょう。
今回はかつての千日前商店街にあった岡山日活(映画館)の建物を紹介します。
岡山日活はいわゆる成人映画の上映館です。
私が子供の頃はここ以外にも繁華街の辺りに店舗があり、エロ映画の絵看板を掲げていました。
それも無くなり、最後まで残ったのがこの岡山日活でした。千日前の再開発が一番の閉店の理由でしょうが、それ以前に時短営業で運営されており、たまたま時期が重なったという部分もあるようです。
元々は金馬館という映画館でした。確か岡山空襲後に再開した市街地の映画館としては最速で、それが戦後復興のニュースとして新聞に取り上げられたのを岡山空襲を学ぶというコラムを書いた際に資料で読んだ記憶があります。
岡山最速でエロ映画館が復活して、やっぱり性欲は何物にも勝るんだな…というわけではなく、元々は普通の映画を上映していました。
日活の封切館となった事から岡山日活の名称に変更します。後に日活が経営難から低予算で収益が見込める成人映画に路線変更した為に、その封切館である岡山日活も成人映画を扱うようになりました。テレビで映画を放送する番組が出てきて映画館が衰退し始める時期なので、別の需要で成り立つ成人映画への乗り換えは当時の需要的にも叶った物だったようです。
成人映画館の多くがこの経緯を辿っているようです。
全年齢向けの映画を扱う映画館が昭和後期~平成初期で次々に倒れていった事を考えると、令和ギリギリまで生き残れたこの路線変更は正解だったのでしょう。
尚、岡山日活は1977年にいったん閉館しています。なので厳密に言えば金馬館直系の映画館としての歴史はそこで終了します。しかし1984年に同じ経営者が再び映画館を立ち上げます。それが上の写真の岡山日活です。
そんな歴史ある映画館も2019年12月に閉館します。岡山の成人映画館の文化は令和の時代まで生き残れました。お疲れ様でした。