岡山県出身の総理大臣は歴代で二人います。(※注)
その内の一人が現在の津山市出身の平沼騏一郎です。
ドイツの動きに翻弄され、「欧洲の天地は複雑怪奇」という言葉を残して退陣した事がよく知られています。
津山市にはゆかりの地として、知新館という建物があります。
こちらです。場所は津山市南新座です。アルネ津山から少し南に進んだ住宅と商店が入り混じる旧城下町に位置します。
生まれは津山市の藩士の家ですが、優れた家系に生まれたという訳ではないようです。恐らく平沼騏一郎を輩出したことが家を語られるようになる最初でしょう。
こちらの建物は元々の建物というわけではありません。平沼家の手から離れていた屋敷を、古希の祝いとして買い戻して騏一郎たちが住んでいた頃の状態に復元したものです。
別宅として愛用されていたそうですが、A級戦犯として巣鴨拘置所にいる内の昭和25年に津山市へ寄贈されました。この寄贈に騏一郎の意思が絡んでいたのかどうかは分かりませんでした。拘置後は精神的に不安定な状態だったと伝えられており、もしかするとご存じないままだったのかもしれません。
そして翌年には郷土資料館(津山郷土館)としてオープン、昭和62年まで活用されました。
実は私はこの建物を非公開と勘違いしていました。
なので外から見て帰ってしまったのですが、予約制で見学可能です。
入場料は無料、予約は5日前までです。また次の機会に見学しましょう。
建物には古い電話番号の表示があります。
郷土館時代のものでしょうか。
ちなみに郷土館の閉館の翌年には津山市の旧庁舎を利用した津山郷土博物館がオープンしました。
由緒も歴史も充分な知新館ですが、本格的な展示を行うには手狭だったようです。ちなみに知新館という名前が与えられたのは、廃止後の事です。
現地の案内看板。
古い建物ではありますが、津山市出身の偉人に関係する建物と気付かずに通り過ぎてしまう人もいるでしょう。
こういう看板でもっと広く知られるようになればと期待します
※岡山県出身の総理大臣については本文中で記載する2人とする他に、選挙地盤を岡山とした橋本龍太郎(東京都出身)を含める3人とする場合もあります。