2021年12月16日の山陽新聞に「新見市が「立地適正化計画」素案 人口減見据え住宅や商業施設誘導」という記事が出ていました。
内容が興味深かったので、ブログで少し紹介したいと思います。
コンパクトシティを模索する新見市
新見市の立地適正化計画は昨今よく見聞きするようになってきたコンパクトシティの構想です。
コンパクトシティは国交省では下記のように解説されています。
コンパクトシティの定義については、論者や文脈によって異なるが、一般的には、1)高密度で近接した開発形態、2)公共交通機関でつながった市街地、3)地域のサービスや職場までの移動の容易さ、という特徴を有した都市構造のことを示すと考えられる(国土交通省:集積による効率化より)
つまり市街地に施設や人を集める施策です。
新見市ではこのような資料を出しています。
ここから少し例え話をしますが、新見市の今回の素案とは関係ないあくまでも例え話なのでご了承下さい。
新見市が集約しようとしているのは資料によると、
住宅施設、医療施設(病院等)、社会福祉施設(高齢者施設等)、教育文化施設(学校、図書館、博物館等)、商業施設 行政施設 など
…とされています。
住宅は青い枠の中に、その他の施設は赤い丸の中に集約していきます。
方法は規制緩和や財政的な支援、減税、そして計画区域外の開発は都市計画法などで抑制する事も可能でしょう。
こうすることで市の中心部の人口密度が保たれ、更に至近距離に公共施設が揃います。
現在の新見市は新見、西方、高尾の辺りに先に新見市が掲げている施設が集まっているようです。
これを新見駅から徒歩圏内…新見~西方の一部に集約すると仮定します。
後は中心部に住まない人が不便にならないように、各地区から新見駅へ向かう交通網を整備させます。
鉄道、バス、乗り合いタクシーも有効でしょう。
コンパクトシティになった新見ではとりあえず新見駅に行けば大抵のことは揃うわけですから、わざわざ自家用車で行かなくても不便ではありません。
駅前に岡山市のももちゃりのようなレンタサイクルのサービスを整備するのもいいでしょう。
そういう環境が整えば自動車の運転に難が出てきているような高齢者も安心して運転から引退できる筈です。
コンパクトシティには幾つかの考え方がありますが、中央市街地の空洞化の抑止と交通弱者の救済の意味もあります。
新見市では高齢化、人口減少への対策の意味もあるでしょう。
受け取りようによっては発展を諦めた判断のようにも感じるのかも知れません。
しかし高齢化で人口が減少していくのは既に必然です。将来的な事は別として、現時点ではやはり取り組むべき課題ではないでしょうか。
理想の形? きびプラザ
私は以前このブログの中できびプラザを「きびプラザは地方の理想的なモデルの一つである」というタイトルで紹介したことがあります。
きびプラザは現在の吉備中央町に計画都市として整備が進められてきた吉備高原都市の中にある施設です。
施設内には、スーパーマーケットの機能を備えたポプラ、シャディのサラダ館、衣料品販売、クリーニング屋といった商業施設、岡崎嘉平太記念館、ケーブルテレビ、音楽教室、英会話教室、古美術商といった文化施設、公的な機関である吉備中央町役場の吉川支所、イベント用の広場、ギャラリー、貸しホール、接骨院、ホテルといった公共性の高い施設に、中国銀行の支店まで揃います。
先に挙げた新見市の立地適正化計画のように、きびプラザに来れば生活の中で必要になることの大半が片付けられる様になっているのです。
公共事業の失敗例に挙げられることもある吉備高原都市ですが、コンパクトシティのコンセプトを早い内から実現していた先見性は寧ろ評価されても良いのではないでしょうか。
ただし揃わない施設もありますし、交通網がしっかりしていない為かきびプラザの駐車場はいつも自家用車で一杯です。
なのでコンパクトシティと言う為にはまだまだブラッシュアップが必要なのでしょう。
しかし県内では最もコンパクトシティの完成に近い位置にある施設だと思います。新見市で計画策定に携わっていて、まだきびプラザを訪れた事がないという人がおられれば見学して損はないと思います。