情報源: 国宝の太刀「山鳥毛」の購入プロジェクト 公金投入を撤回へ 岡山・瀬戸内市(KSB瀬戸内海放送)

2018年秋に話題になった瀬戸内市による上杉謙信の愛刀・山鳥毛の購入に関するニュースの続報がありました。

瀬戸内市が山鳥毛の購入に動いた経緯

これは2018年に山鳥毛の所有者から、瀬戸内市に対して刀の購入の申し出があった事に端を発する出来事です。
山鳥毛は備前長船で作られた名刀中の名刀です。

先に新潟県上越市が購入を目指した際に提示された金額が5億円で、瀬戸内市に対してもほぼ同額での提示があったものと思われます。

上越市が3.2億円までしか用意できずに断念した後に、瀬戸内市へ話しがあったそうです。

瀬戸内市は当初はクラウドファンディングの活用による予算の調達を目指しました。
刀の価格とその刀を展示する為の施設(備前長船刀剣博物館)の改装費用として6億円を目指しましたが、クラウドファンディングとふるさと納税で集まったのは2.5億円でした。(1月末時点)

そこで経費などを含めた不足分の約4.3億円を市が財政調整基金で立て替える…というところで、議論になっていました。

 

購入はちょっとタイム!

貴重な国宝の刀とは言え公費で刀を購入する事に全ての市民が納得しているわけではありません。
実際に国宝太刀「山鳥毛」の購入に疑問を呈する会という、購入に反対する市民グループもあります。

そもそもクラウドファンディングを立ち上げたのも、市自身が「(五億円の調達に税金を用いたら)町を二分する議論になってしまいます」と語っていたからです。
そこで財政調整基金からの立替はどうなのか…という所に2019年2月5日、所有者から寄付が集まるまで待つという申し出があったのです。

なので瀬戸内市としては今後も寄付を集めて山鳥毛の購入を目指すという事になりました。

 

なぜ欲しい?山鳥毛

瀬戸内市が山鳥毛を欲しがっているのには、ちょっとした事情があります。

瀬戸内市長船町は備前長船と呼ばれる刀の産地でした。
国宝に指定されている111振りの刀の内、なんと47振りが備前で作られたものです。

なので瀬戸内市は備前長船刀剣博物館など、刀による町おこしを進めています。
…が、意外にも瀬戸内市は国宝や国の重要文化財に指定されている刀を保持していません
そこで市としては名の知れた、目玉になるような刀を欲していたのでしょう。
市は数が減っている刀鍛冶の育成の目的もあるとしています。

ところで瀬戸内市が”山鳥毛里帰りプロジェクト“としているので勘違いしている方もいるかもしれませんが、実は山鳥毛は岡山県内にはあります
所有者は岡山市在住の方で、刀は岡山県立美術館に寄託されており、過去に特別展示が行われた事もあります。

それなら別に無理して瀬戸内市が買わなくてもいいんじゃない?という意見もあるかと思います。
しかし上越市のように購入を検討する声もある中で、県や市のように売却を検討しない所有者が保持しておかなければ、いつ県外へ貴重な刀が流出するか判らない状況なのも事実なのです。

 

感想

刀って高いんだな…。
それが最初の感想です。

それはさておき、瀬戸内市としては山鳥毛の購入による経済効果を高く見込んでいるのでしょう。
いくら市内に国宝、国の重文の刀がないと言っても、5億円もの刀に手を出すのは、それに伴う費用が何かしらの形で回収できると思っているからでしょう。

例えば長期的に見れば長船の刀剣博物館の増益で賄えるとか?
もちろん瀬戸内市にまで来て、刀だけを見てまっすぐ帰る人も少ないでしょうから、それ以外の経済効果も見込めるでしょう。
刀を擬人化するゲーム、刀剣乱舞の人気もまだまだ根強いので期待するところは大きいでしょう。

私個人の考えとしてはお金の算段がクラウドファンディングや寄付で付かない場合、刀が岡山県にある内に参考にさせて貰って現在の長船の刀鍛冶で精度の高いコピーを作って展示するとか、そういう可能性を模索してもいいのではないか?とも思います。

火災で焼けてしまった燭台切光忠は刀剣乱舞のファンなどからの寄付金で、写しが作成されました。
光忠は原本も徳川ミュージアムにあるので事情はやや異なりますが、そういう形も良いと思います。
現在の刀工が作る山鳥毛…というのも、カッコよくないですか?

僕も岡山県民で歴史好きの端くれなので、言うまでもなく山鳥毛が県外や、国外に流出するような事は出来れば避けたいと思います。
ただ金額が金額だけに、どうなるのか。
今後のニュースに注目していきたいと思います。




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