国宝の備前刀「山鳥毛里帰りプロジェクト」 上杉謙信が信仰していたとされる毘沙門天を祭る安養寺、100万円を寄付 岡山・倉敷市(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191129-00010008-ksbv-l33)
瀬戸内市が山鳥毛購入を目指してクラウドファンディングに取り組んでいる件で、上杉謙信にゆかりのある倉敷市の安養寺が100万円の寄付を行いました。
さてさて、この山鳥毛の購入はどのような経緯だったのでしょうか?
簡単におさらいしてみましょう。
瀬戸内市の山鳥毛購入計画とは?
山鳥毛の購入を最初に目指したのは、上杉謙信が城を構えていた新潟県上越市です。
その際に提示された金額が5億円で、上越市は3.2億円までしか用意できずに断念しました。
その後で瀬戸内市へ話しがあったそうです。
瀬戸内市では当初、クラウドファンディングで2.5億円の調達に成功した時点で、刀の購入費用と展示のための美術館の改修費として必要になる残りの4.3億円を財政調整基金で立て替える方針を打ち出しました。
しかしこの動きには市民の中に反対の意見を持つ方も少なくなく、所有者がお金の用意が出来るまで待っても良いという申し出をした為、継続して寄付を募る方針になりました。
残り…、約1億5700万円!
瀬戸内市では購入に充てられる金額として、2019年11月時点で約3億5600万円を集めることが出来ました。
そして美術館の改修を後に回す事で目標額を削減、残りが約1億5700万円となりました。
寄付の期限は2020年3月末まで。
決して小さな金額ではありませんが、購入へ現実味を帯びてきました。
どうなるのか期待ですね。
どうして市に話が来たの?
ところでこの刀の所有者はどうして上越市、瀬戸内市と自治体に話を持ちかけてきたのでしょう。
日本刀は世界的にも人気で、国宝級のアイテムともなれば5億円くらいの提示は民間からもありそうなものです。
所有者の方の実際のお考えは判りませんが、実は自治体に売った方がお得なのです。
美術品を売却する際に生じる税金は、
・購入金額ー売却金額の差額
…に対して課税されます。
山鳥毛は現在の所有者の祖父が上杉家から買い取ったものです。
という事は、購入価格は恐らく現在の価格で言えば非常に少額になる為、5億円で売ればほぼ5億円に課税されることになります。
しかし自治体に売れば税金は掛からないのだそうです。
所有者としてもそれなら市に…という気持ちになるのは当然でしょう。
※金額面から考察していますが、所有者の方がゆかりのある自治体に保有してほしいという気持ちで上越市や瀬戸内市に話を持ちかけているという側面もあると思います。ご了承下さい。
感想
この件については市民の方と話すと、意外と冷めた反応です。
市の税金負担が無いなら…という感じですが、それでも刀の購入に5億円というお金が動くことに共感できない方も少なからずおられる印象です。
だから瀬戸内市は税金投入を避けたのでしょう。
これは賢明な判断だったと思います。恐らく市のお金を強行して動かしていれば、市長退任くらいの動きはあったのではないでしょうか。
個人的にも以前の記事で、所有者に刀をじっくり見せてもらった上で現在の長船の刀鍛冶がレプリカを作るような形で良いのではないかと書きました。
しかしここまで目標金額に近づいてきたら…、もう実現してほしいですね!
みんなで長船に山鳥毛を見に行ける日が来るのを、楽しみにしています!