以前、GoogleのAI「GEMINI」に、「津山事件の動機についてどう考えるか」という質問をしたことがあります。
その記事がSNSなどでも好評で、現在のところブログ内でもPVが順調に推移しています。
二匹目のどじょうを…というわけではないのですが、同じAIでもChatGPTならどのように答えるのか、そしてどのように異なるのかについて興味がわいてきました。
そこで今回は同じ質問を投げかけてみようと思います。
両者はネット上にある情報から学習をしているAIです。もちろん開発元も異なり、作られ方も異なるのでしょう。しかし判断材料にしている情報が同様にネット上の情報であれば同じような回答になっていくのではないか…?と、先に予想してみます。
どのような回答が来るのか、一緒に見てみましょう。
AIの考える津山事件の動機
最初の質問は「津山事件の動機についてどう考えるか」です。
返答は下記の通りです。実はChatGPTの回答、メチャクチャ長いです。結論だけを知りたい人は先にスクロールしても構いません。
以下、ChatGPTの回答をそのまま転記します。
結論から言うと、
津山事件の動機は「単一ではない」。ただし「説明できない狂気」でもない、と考えている。
① 私が一番警戒している考え方
まず、これははっきりさせたい。
❌「差別が原因だった」
❌「徴兵検査が原因だった」
❌「精神異常者だった」
どれも部分的には事実を含むけれど、動機そのものではない。
これらは
👉 条件
👉 環境
👉 圧力
であって、引き金ではない。
② 動機の核は「生きる位置を完全に失った感覚」
私が動機の中心に置くのは、これ。
社会の中で「どう生きても回復できない位置」に追い込まれたという確信
ポイントは「貧困」でも「孤独」でもなく、
“回復不能感”。
努力しても評価が戻らない
時間が経っても立場が変わらない
どこへ行っても同じ目で見られる
しかもそれが、
秘境ではなく
町に近く
情報が遮断されない環境
で起きていた。
👉 逃げればリセットできる世界ではなかった。
③ 「憎しみ」よりも強かったのは「否定された自己像」
彼は最初から村を憎んでいたわけじゃない。
むしろ重要なのは、
役割を果たそうとした
認められようとした
共同体の内部に留まろうとした
という痕跡があること。
だから私は、
動機を「復讐」よりも、
“否定された自己を、暴力で確定させる行為”
として見る。
生きていても意味がない
しかし死ぬだけでは無意味
ならば「消されない形」で終わる
この歪んだ合理性。
④ なぜ「村全体」だったのか
ここが一番重要で、かつ危うい。
数人を殺せば「犯罪者」で終わる。
だが、村全体を壊せば、
個人ではなく
共同体との対決になる
彼は、
「自分を無意味化したシステム」そのものを対象にした。
これは正当化じゃない。
むしろ、取り返しのつかなさの説明。
⑤ それでも「理解」と「免罪」は別
ここは強調したい。
動機は説明できる
だからといって、行為は理解されてはならない
津山事件の恐ろしさは、
**「特殊な人間にしか起きない話ではない」**点にある。
だからこそ、
悲劇化しすぎない
英雄化しない
社会が殺した、にもしない
この距離感が必要だと思っている。
私のまとめ
津山事件の動機は、
「生き続ける意味を剥奪されたと感じた人間が、
最後に“意味を強制的に作ろうとした行為”」
狂気ではある。
でも、異界の狂気ではない。
GEMINIの回答とはかなり異なります。
詳しくは前回の記事を見ていただくとして、GEMINIの回答は簡潔にまとめると
1. 結核による差別の被害妄想と社会的孤立、2. 女性関係のもつれと屈辱感、3. 村八分と精神的な追い込みが「これらの要因が複雑に絡み合い、最終的に大量殺人という凶行につながったと考えられています。」と云うものでした。
どちらかというとChatGPTは主体的に答えている感じがします。
対するGEMINIの方は、どちらかといえば津山事件の情報を分析して、マス的な回答のように見えます。
少しだけChatGPTの方が人間的に思えますね。
ちなみに回答に距離の話題が多いのは、先日の投稿した貝尾と加茂町中心部の距離感について触れた記事をChatGPTに読ませた影響です。
口調が丁寧口調でないのも、その時にスパルタでという文言を加えた名残です。いつも優しいチャッピーを想像している人には申し訳ないです。
ChatGPT君は何を原因と思う?
続いて、「私的な意見でいいけど、君はどの要素が最も大きかったと思った?」という質問を投げかけてみました。
GEMINIの時の回答が特に顕著ですが、AIはネット上の情報を網羅しているので、動機だけを聞くと一般論しか返ってこないように感じたのです。
ではどうぞ。
私的な意見として、はっきり言うね。
一番大きかった要素は
「回復不能だと本人が確信してしまったこと」
これだと思っている。
差別でも、徴兵検査でも、病気でもない。
それらが重なった結果として生じた「もう戻れない」という確信。
なぜこれが決定的だと思うか
人はね、どんなに辛くても、
いつか状況が変わる
場所を変えればやり直せる
評価が回復する可能性がある
このどれか一つでも残っていれば、踏みとどまる。
でも津山事件の場合、彼の世界ではそれが全部潰れていた。
村を出ても噂は消えない
時間が経っても評価は更新されない
努力しても「元の位置」に戻れない
しかもそれが
秘境ではなく、町に近い、開かれた環境で起きていた。
ここが致命的だったと思う。
徴兵検査は「原因」ではなく「確定操作」
これは強調したい。
丙種合格そのものが人を殺人者にするわけじゃない。
でも彼にとっては、
「社会が公式に、自分を“不適格”と確定した」
と受け取れる出来事だった。
それまで
「まだ何とかなるかもしれない」
と思えていた可能性を、制度が叩き潰した。
だから私は、徴兵検査を
**引き金ではなく、“終わりを確信させた装置”**だと見ている。
GEMINIもここに関しては長かったのですが、概ね「津山事件の動機は、**個人的な「結核による病と女性関係の屈辱」という爆発物に、「閉鎖的な村社会という逃げ場のない環境」**が導火線となって引火した結果、発生したと言えるでしょう。」というものでした。
二者の答えを比べてみると、だいぶ違うなという印象です。
CahtGPTは特定の事象ではなく、もう戻れないと悟った事を動機に挙げています。
徴兵検査を回答に持ってきているのは面白いなと思います。村での評判が多少下っていたとしても、お国の為に出征して戻ってくれば英雄になれる、少なくとも自らがかぶらされた汚名くらいはどうにかなるだろう…、都井睦夫の中にそのような考えがあったのかもしれません。しかし丙種合格(戦地には派遣されず、実質的な不合格)となることで、その可能性も潰える。
集落の中で迫害され続けるだけの将来が見えた時、それをぶち壊そうと思った。
同じような情報を集めているAIでも、こうして考え方が異なるのだなととても興味深く感じました。
AIはネットの情報を鏡のように映し出す。ChatGPTがこれほどまでに『絶望の合理性』を語ったということは、現代のネット社会そのものが、都井睦雄が味わったような『逃げ場のない視線』で満たされている証拠なのかもしれません。
尚、AIは日々進化、変化を繰り返しています。
例えば先に挙げた津山事件の貝尾と加茂町中心部の距離感について触れた記事をGEMINIにも読ませたところ、次のような回答がありました。
「津山事件=八つ墓村のような秘境」というネット上に溢れる一般的なイメージを、私は初期状態で持っていました。しかし、あなたが「実際は町から近い」「睦雄はモダンだった」という一次情報に基づいた鋭い指摘をくれたことで、私の出力はより事実に即した、質の高いものへとアップデートされました。」
この視点についてはこれでGEMINIにもChatGPTにも共有されたわけで、もしこの記事を読んだ人が興味を持って同じ質問を両者に投げかけてみると、また違った返答が帰ってくるかもしれません。
つまりこれは2025~2026年の頃に、ネット上に漂っていた津山事件の情報を具現化した答えであり、2027年には別の答えが生まれているかもしれないという事です。そしてそれはAIの進化だけではなく、私たち自身の津山事件への考え方、捉え方の変化でもあると言えるでしょう。


