岡山県がかつて刊行していた「おかやま」という、岡山県の情報誌の中で興味深い対談がありました。
こちらです。
時の岡山県知事、加藤武徳さんと対談をするのは…、様々な書籍で人気のノートルダム清心女子大学の学長・渡辺和子さんです。
お若い…!
私の知っている渡辺さんは白髪のお年を召した女性なので、ちょっと新鮮な感じがします。
1972年の対談なので、まだ45歳です。36歳の若さで学長に就任されましたが、この頃の写真からはキャリアウーマンというか、芯のある女性像が浮かびます。
対談テーマはなんと「県総合発展計画をめぐって」です。県の掲げた長期的なビジョンの事です。で、対談相手としてメチャクチャ鋭い発言をされます。
加藤さんが曖昧にしておこうとすると、すぐさまその内容について問いただし詳細を語らせます。
特に印象的だったのはこちらの会話です。

加藤さんが物が豊かになった一方で、人の心の豊かさが追い付いていない事を挙げました。
その上で渡辺さんに対し、日々の生活や行動に意義を見出す方法を求めた問いかけでした。
それに対する答えは「自分で見つける以外に方法はないと思います」というものでした。ここでキリスト教の考えなどは語らないんですね。
この考え方は後に発表される「置かれた場所で咲きなさい」で語られる、「人はそれぞれ、神様から与えられた場所で、その持ち味を生かして生きるべきだ」という考えに通じるものを感じます。
若いころからずっとのその信念、考えは変わっていなかったのでしょうね。
ちなみに渡辺さんの県総合発展計画に関する評価は「ユートピア」とし、「理想は常に高く掲げておくべきだというお立場で、実現の可能性とは特に関係づけないで、そうとう高いところに置いていらっしゃるのですか」と尋ねました。
これは凄い質問ですね。表現は優しく奇麗ですが、ざっくり言えば「これは理想論でしょ?どれくらい実現できると思ってるの?」と、聞いているわけです。これには加藤さんも心の問題はさておき、形のあるものに関してはやると返答せざるをえません。
対談なので決して何かしらの強制力があるわけではありませんが、言葉の強弱を選びながら言質を取る話の持っていきかたは上手いなぁと感嘆させられました。
とても興味深く読み応えのある内容でした。とても古い本なので入手するのは難しいかもしれませんが、もし手にする機会があればぜひ目を通してみてください。

