鬼と鬼人の違いとは?

少し前に古書店で「児島風土記」という本を入手しました。
倉敷市児島地域の歴史の本です。児島で起きた過去の出来事や、ゆかりの著名人のことなどが事細かに記されています。

その中の坂上田村麻呂の由加の鬼退治の項目で気になる文章がありました。


「由加の鬼は鬼というより鬼人に近く」

…鬼と鬼人って違うのかよ。
という事でネットの力を借りて調べてみました。

ChatGTPさん、鬼と鬼人の違いって何だい?
以下、回答より引用。

主な違い

項目鬼人
姿角や怪力など超自然的存在人間の姿に近いことが多い
性質怪異として恐れられる人間的な要素と鬼の力を併せ持つ
役割悪役や災厄の象徴英雄や葛藤する存在として描かれることが多い
用法伝統的な妖怪比喩的・創作的な解釈が強い

この他にも色々な違いが提示されていますが、全体的に見て鬼は妖怪などのカテゴリーに入る存在で、鬼人は何かしらの超人的な能力を有した人間(もしくはそれに近い存在)という描かれ方をする傾向にあるようです。
ただし明確な違いはなく、ChatGTPでも冒頭で「鬼」と「鬼人」の違いは、主に概念やイメージの違いにあります。と答えており、単に言葉に人がつく事で人間に近いイメージをされるだけで同じような存在のようです。

鬼人のイメージを作ったのはもしや…?

普通のネット検索でも答えは出てきませんでした。
ただ検索結果から鬼人を主人公や主要登場人物とした小説がある事が分かりました。
まず「鬼人幻燈抄」。
この作品では主要登場人物は鬼の力を得た(元)人間です。
主人公は鬼の体を得る事で長寿と疾駆と呼ばれる超越した身体能力を得ています。妹もその力を得ており、その暴走を阻止する為に繰り広げられていく物語です。
あらすじしか確認していませんが、この作品でも鬼と鬼人の明確な使い分けは無いようです。主人公の外見も普通の人間のそれに見えます。悪役が鬼、主人公側が鬼人といった使い分けになっているように感じました。

もう一つ出てきたのが「転生したらスライムだった件」。
こちらは人間がファンタジーの世界に生まれ変わり、様々なモンスターを支配下に置きながら領地を広げていくという、いわゆる国盗り物語です。
この作品中では鬼人は主人公の臣下であり、オーガと呼ばれる鬼の種族が進化した状態という設定です。
進化による変化を見ると、いわゆるモンスター的な鬼から人間的な容貌になっています。

…という事で鬼人の検索で上位に出てくる二つの作品の鬼人についてチェックしてみましたが、ChatGTPの回答がこの二つの作品に左右されているような印象を受けました。
特に英雄や葛藤する存在と言うくだりは鬼人幻燈抄の主人公そのもののような…。
鬼人と鬼の違いに関する情報が少なく、その中で答えを出そうとするとこのようになるのかもしれません。

なので飽くまで参考までという事になりますが、鬼人は人に近い様子を表す表現のようです。
なので理知的な鬼だったのか、それとも鬼に例えられるような超越した何かしらの能力を有する人間だったのか…というのがこの本で言わんとしたことなのかもしれません。

感想とか

あらすじ程度とは言え、一行の意味を調べるのに二作品に目を通すことになってしまいました。
いつもこのように寄り道をして、調べ物がどんどん後回しになってしまいます。

ところで「児島風土記」ですが、坂上田村麻呂の由加の鬼退治に対しては完全なフィクションであるという立場を貫いています。
伝承については「全国至るところにある田村伝説の児島版」と書き、地元の聖地である由加山に有名な武将である坂上田村麻呂を出動させて箔をつけた…というようなニュアンスの結論で締められています。

著者も児島の人なので、かえってドライに書けるのでしょうね。
まぁ実際、そうなのだと思います。菅原道真の左遷や 神功皇后の三韓征伐の帰り道とか、詳細が伝わっていなので各地でエピソードが生れています。
それを検証してあり得る、あり得ないと結論付ける事も出来るのでしょうが、まぁそこは深く考えずに伝承を楽しむようにありたいなと思います。




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