世界が新型コロナウィルスで大騒ぎになる直前、瀬戸大橋の通年ライトアップが予定されていた事を覚えているでしょうか?
2020年のニュースでしたが、その頃から新型コロナウィルスが都市部で流行の兆しを見せており、観光産業自体が県外からの人を受け入れるのは好ましくないというような風潮に変わってしまいました。
なので既に忘れてしまっていたという人や、もしかすると通年ライトアップが行われなくなった理由が新型コロナウィルスのせいだと思っている人もいるかもしれません。
これは私のブログでも紹介した通り、瀬戸大橋周辺の漁協との合意が出来ていなかった為です。
当時のKSBのニュース映像がYouTubeに残っているので貼り付けます。
予定されていたのは2020年4月からですが、このニュースが報じられたのは3月29日。日程が近付いてきた段階で漁業からの意見が出てきたこと、そしてギリギリまで実施に向けて動き回っていた様子が伺えます。
ニュースでは通年ライトアップを「見送る」ことと、「4月と5月は金・土・日と祝日の日没から最長午後10時までライトアップを行います。」という事が紹介されています。
この文言を見る限り調整が取れれば、早ければ2020年6月にも予定通り通年ライトアップを行う意向があったのでしょう。
しかし2023年12月現在、未だにそれは行われていません。
今も毎週土曜日と祝日、連休、クリスマスイブなどに限られています。
ネットで調べてみても、進展があったような情報はありませんでした。
恐らく流行病の件でどちらにしても出来ないという事で漁協との話し合いは中断し、そのまま観光産業が通常に戻った現在でも解決しないままになっているのでしょう。
ところで開始直前に関して言えば、漁業関係者だけでなく天文愛好家からも反対の声は上がっていました。
瀬戸大橋周辺は星空を楽しむ人も多い場所。当初の計画案では7月7日はライトアップ無し、月齢に応じて天体観測が出来るように時短の日を設けるなどの配慮はされていたものの、それでも反対の声は決して小さくありませんでした。
奇しくも漁業という産業側からの声が入り実施自体が延期となりましたが、今後もし再び通年ライトアップの機運が高まる事があれば、今度こそ天文の面も含め、全方位が納得する形での実施を進めて欲しいですね。
余談ですが…。
瀬戸大橋建造時点でも漁業関係者とのやり取りというのは大きな課題になりました。
NHKのテレビ番組・プロジェクトXでも取り上げられた事があるので知っている方も多いと思いますが、杉田秀夫さんという人物がいます。香川県の公式サイトでは「瀬戸大橋を架けた男」として紹介されている本四公団(当時)の所長を務めた人物です。
地元の関係者との折り合いを全て引き受け、説明会にはなんと約500回も参加したと言われています。その上で勝ち得た信頼の上に瀬戸大橋は着工できました。漁業関係者にとっては橋の工事も、そして今回のライトアップによる光害も生活に直結する問題です。
もちろん光害が漁業への影響はないであろうという事は事前に調べた上で今回の実施という流れではあるのでしょうが、先人がどれだけ苦労をして説得してきたのか…という事が、肝心の本四高速に伝わっていなかったのかな?と、少し残念な気持ちになりました。