情報源: 瀬戸大橋ライトアップが過去最多136日に 19年度、合計時間は従来通り(山陽新聞デジタル)
ちょっと不思議に思ったニュースがったのでご紹介します。
瀬戸大橋30周年、日数”は”増加
2019年度は瀬戸大橋架橋から30周年ということで、ライトアップの日数が増えました。
従来が80日のところを、2019年度は136日と56日も増えています。
特に週末で人が動き易い金曜日の点灯を増やしたのが大きかったようです。
しかし点灯時間は300時間と従来通りのままです。
つまり点灯する日数は増えたけど、全体的に点灯時間は短くなったという事です。
詳しくは後述しますが、この300時間というのは1997年に決められた点灯時間のガイドラインです。
日数も80日と定められており、今年度は日数のみを30周年に合わせて柔軟に対応したという形です。
首長、観光関連からは時間増加の要望も
これに対して岡山県、香川県の知事、そして倉敷市長などからは、従来のガイドラインを超えたライトアップを求める声も出ています。
岡山県知事は2018年2月の記者会見で「私とすれば、365日点灯をしたい、設備もあるわけですけれども、これは環境省とのやり取りで、とにかく長くなったということは嬉しく思っています。」と発言し、倉敷市長も2019年2月の定例市議会において、ライトアップの拡大について触れています。
そして香川県知事もやはり通年のライトアップを希望しているそうです。
上記リンクの記事先では瀬戸大橋周辺の観光業者として、瀬戸大橋が見渡せる場所に位置する鷲羽ハイランドホテルの会長の意見を紹介していますが、こちらも通年の点灯を希望しています。
あれ、光害は?
これらの意見を聞きながら、ふと思ったのは橋の下で暮らす住民の意見です。
記事中には出てきていないんですよね。
岡山県側で言えば橋の下で暮らす下津井地区の人々がいますし、香川県側にもいくつかの島があり、そして周辺の海は漁業がおこなわれています。
1997年のガイドラインというのは、実は住民との対話で出てきた数字ではありません。
これは当時の本四公団が環境庁(現・環境省)との話し合いで『年間70日以内(99年に80日に変更)、300時間以内』と定めました。
しかしそれでも上記のように首長クラスがそれ以上を求めるのには、この数字に対する根拠が無い事が挙げられます。
当時のやり取りが調べきれなかったのですが、関係する記事から推察すると、環境庁が当時の瀬戸大橋の点灯時間が長すぎるのではないか?という意見を出し、それに伴い本四公団は従来よりもやや抑えた300時間という時間を提示して、このガイドラインが出来ました。
つまり300時間という数字には厳密には意味がないのです。
なのできちんと調べてみれば、現行の300時間が400や500時間になったとしても動植物への影響はないかもしれません。
もちろん逆に250時間まで減らせばより良い環境になるという答えが出てくる可能性もあります。
しかし環境省は300時間というガイドラインの変更については慎重です。
動植物への影響を懸念している以上は「時間を増やしてみて、何か深刻な影響が出たから元に戻す」…というシンプルな問題ではないのも事実です。
感想
環境省が懸念する動植物への影響を考えての300時間には再考の余地はありそうです。
しかし、私はやはり地元住民の考えが気になります。
夜に眩しくなる事はもちろん、見晴らしのいい場所に住んでいる方にとっては夜中に家の周りを見知らぬ人々がウロウロする事や、マナーの良くない駐車、騒音などの問題も出てくるかもしれません。
個人的にはこの辺りが通年点灯を求める県知事と、点灯時間の拡大を求める倉敷市長の微妙な差異なのではないかと思います。
当然ですが県知事はマクロな目線で県の観光への影響として通年を求めるます。
対する市長は市民への配慮として、県知事よりはミクロな考えで拡大という表現を選んだのではないでしょうか?
365日、いつでも(ある程度の時間までは)ライトアップが見られるのは確かに魅力的です。
しかしその為に住民であれ、漁業関係者であれ、そして動植物であれ、誰かが辛酸をなめるような事にならない事が大前提ではあると思います。
今後、どのように変化していくのか興味深いですね。