岡山西警察署に行ってきました…。
出頭です…という訳ではなく、近くで待ち合わせがあったので余った時間で散策してきました。
岡山西警察署は岡山市の中で中央警察署に次ぐ規模の警察署です。所長を警視正が勤めるのはこの二つの警察署のみです。
管轄は岡山市の中心市街地から市の西部にかけての広域な範囲に及びます。
以前の庁舎は岡山市北区伊福町にありましたが、1997年に現在地に移転しました。
やや市街地寄りの立地から、管轄エリアの中央に寄せていった感じでしょうか。
しかし注目すべきポイントはそこではありません。パルテノン神殿に例えられる事もある独特のデザインの庁舎です。
設計は世界的な知名度を誇る磯崎 新さんです。
多くの作品を手掛けてきた人物ですが、作品一覧を見る限り…、もしや唯一の警察署の建物なのかもしれません。
この建物の最大の特徴は、やはりここでしょう。
柱!
これがパルテノン神殿に例えられる由縁でもあります。
磯崎 新という建築時に既に超有名人だった建築家への依頼料、そしてこの柱の費用と…。
完成前後に西署の建物に対しての批判が巻き起こったのは言うまでもありません。
それでもさすがにカッコいいデザインだから許せるかな…?と思っていたものの、なにせ地元の警察署ではないので来た事がありませんでした。
初訪問ついでに柱の辺りを見てきたのですが、この部分が一体何なのか興味がありませんか?
ここは完全なデッドスペースです。建物の入り口は柱の一番左側の奥にあり、右側は自動車が駐車場へ向かうための道になっています。徒歩の方は写真の手前側が入り口になっています。なので歩いてきた人も、車で来た人も、この柱がある場所を人が通る事はありません。
逆に言えば人が通らないので邪魔になる事もありません。本当になんの意味もなさない場所です。
警察署の建物の一階は一般人が様々な手続きを行う為の受付になっており、スペースは余り必要ではないようです。西署の建物が大きく、一般人が出入りする為には広すぎるので、何か出来ないか?そうだ、柱でも立ててみようか…そんな感じだったのではないでしょうか。
そこで柱をチョイスするのが世界的な建築家の評価されるポイントなのでしょう。
前述の通り私はこれをカッコいいと思っているので、批判はしませんが…。実際に来てみて、税金の無駄などと批判する人の意見も凄く理解できるようになりました。
これは…、警察のような建物には不向きというか、批判は起きてしかるべきです。
しかし磯崎 新さんの評価を考えれば、この建物が数十年後に警察としての耐用年数を迎えて新たな建物を検討する時に、もしやすると文化財として保存、美術館や博物館のような建物に転用というような動きが出てくるかも知れません。
西署の建物としての評価は、その時にようやくなされるのかもしれません。