先日、ネットで古書店を検索していると昭和24年に発行された郷土史の本があったので購入しました。
東京の清水書院による本です。社会科の教科書を作っている会社で、現在も存在します。
この本の表紙にも「社会科郷土シリーズ」とあるので、教科書として作られたものなのかもしれません。
ただしそれぞれの都道府県向きに郷土の歴史を学ぶ為った…とも考えられますが、内容はやや難しく、ルビも存在しないので個人的には私のような歴史愛好家向けに作った本なのかな?と思いました。
内容は岡山県の地勢について細かく解説してあります。
気候に関してはわりと現代でも通じる内容が多いですが、例えば興除村の欄には干拓地で山が無いので薪が作れず藁を炊かないといけない…などの、時代柄を感じる部分もあります。
我が故郷の玉野市で言えば、かつては本州側の「四国の玄関口」として栄えましたが、この本での表現は四国の「のもどと」です。この本を書いた人自身の表現という見方も出来ますが、もしかすると過去にはそういう呼び方の方がメジャーだったのかもしれません。こういうのは古い本の面白さですね。
こちらが本のコンセプトについて語った前書きの部分です。
戦後の欧米化の波の中で、もう一度郷土の歴史を再認識しておくべきではないかという事を目指して作られたようです。
昭和24年という事は終戦からまだ4年です。当時の様子は教科書やテレビで見たくらいの知識しかありませんが、まだ戦後復興の混乱期です。24年の発光ですから、作り始めたのは早くても23年くらいでしょう。
ビジネス的な観点で言えば、その時期に郷土史の本を出しても、人々がその本に関心を示すような心の余裕、需要があったとは思えません。
それでも郷土史の本を作る必要性を感じたのであれば、カッコよく言えば日本人のアイデンティティを守る必要性や危機感を感じて作ったのではないかと思いました。
付録の岡山県の鳥観図。
現代になってGoogleマップなどでリアルな航空図がたやすく見られるようになりましたが、こういう鳥観図の方が分かりやすかったりしますよね。
岡山平野がどんな感じなのかとか、平地が確保できた津山が発展して県北一番の都市になった事とか。
リアルさがすべてじゃないなと、そんな事を再認識しました。