後楽園に舞い降りた「裸の大将」|山下清氏が歩いた岡山の記憶
日本中を放浪し、その驚異的な記憶力で緻密なちぎり絵を遺した画家・山下 清氏。
彼が、我が岡山が誇る名園「後楽園」を訪れていた際の貴重な写真が見つかりました。
芦屋雁之助さんと「激似」の衝撃
私たちの世代にとって、山下 清さんといえばドラマ『裸の大将放浪記』で主演を務めた芦屋雁之助さんのイメージが強烈に焼き付いています。
しかし、改めてご本人の写真を見てみると……驚くほどそっくりですね。
体格、表情、そして醸し出されるどこか世俗を離れたような穏やかな空気感。雁之助さんの演技がどれほど徹底した観察に基づいていたのか、そして山下清という人物がいかにキャラクターとして確立されていたのかを、この一枚が物語っています。
天才の眼に映った「後楽園」
実際の山下 清氏は、旅先では一切スケッチをせず、自宅に戻ってから驚異的な記憶だけを頼りに作品を仕上げるスタイルで知られていました。
しかしこの写真ではペンを持って何かしらメモをしているようです。思い出すためのキーになるポイントだけ記していたのか、それとも写真の為に書いている振りをしていたのかもしれませんね。
延養亭から眺める景色か、あるいは唯心山から見下ろす緑の絨毯か。
この写真を撮られた瞬間、彼の脳内には、後楽園のどの風景が焼き付けられていたのでしょうか。もし彼が後楽園をちぎり絵にしていたら、岡山が誇る緑と水の色は、どれほど色鮮やかに表現されていたのかと想像が膨らみます。
結びに代えて
「ぼ、僕はおにぎりが食べたいんだな……」
そんなセリフが聞こえてきそうなほど、写真の中の山下清さんは自然体で、後楽園の風景に溶け込んでいます。
偉大な芸術家が同じ地面を踏み、同じ風を感じていた。
そう思うだけで、いつもの後楽園が少しだけ特別な場所に感じられます。皆さんも後楽園を歩く際は、ふと立ち止まって、かつてここを歩いた「放浪の天才」の視線を追いかけてみてはいかがでしょうか。


