岡山市北区栢谷に見たいものがあって行ってきたついでに、かつて岡山の老舗旅館として知られた乃利武の跡地を見学してきました。
ファミリーマートの脇を山の方に向かって行けば、後は一本道…なのですが、これです。
現役当時のゲートがそのまま残されています。
この先に進むと、再び看板が見えてきます。
確か廃業したよな…?と、自問しながら進みます。
尚、隣りにある泉水は現在も営業している施設です。
3分ほど走ると懐かしい建物が見えてきます。
これが2020年11月時点の乃利武です。
2013年11月29日に自己破産を申請し、倒産しました。
当時の報道によると、設備投資の借り入れが客足の減少により返済できずに倒産を選んだようです。
負債総額は約9億円、施設の規模からすると早めに見切って倒産したように感じます。
この正面の写真が旅館部で、右奥に映る渡り廊下でつながるのが大型のプール施設「ハワイアンプール」の建物です。
客の名前が無いのと草木の管理がなされていない事を除けば、遠目にはまるで現役の施設のように見えます。
実はこの建物の玄関の辺りに、トヨタのアクアという自動車が駐車してあって、思わず営業していたのか!?と思ってしまいました。
恐らく近所の方が駐車場として利用しているのでしょう。
上の写真の右奥に少しだけ車が見えるのが分かるでしょうか?
ここに来た時に建物を通り過ぎた場所にあった筈の駐車場に向かおうとしていました。
なので通りすがりに車を見つけたので、ビックリしました。
特に心霊的なスポットでは有りませんが、廃業した旅館の玄関先に駐車するなんて怖くないのでしょうか。
ちなみに当時の駐車場は利用できなかったので、Uターンして旅館の近くにバイクを置きました。
よく見れば確かに荒れているものの、特にグラフィティの被害に遭うでもなく、窓ガラスなどが割られるということも無いようです。
この辺りは前述の泉水旅館や、一般の住宅が何軒も立ち並んでいるのでいたずらがされづらいのでしょう。
実際に僕が見ている時も、お散歩をしているらしい近所の方とお会いしました。
倒産に至る前後のお話しなどをして、「まさか廃業するとは思いませんでした」と伝えましたが、その方は苦笑いを浮かべていました。
ご近所の方は客の入りなどを如実に感じられていたのでしょうから、そういうことなのでしょう。
フロント付近は備品類は残されていないようで、とても閑散とした雰囲気です。
尚、この写真は封鎖されている自動ドアにレンズを押し当てて撮影したもので、実際に中に立ち入ることはしておりません。
その自動ドアには倒産前日の11月28日の日付で破産の手続きをすること、そして管財人になる岡山市の弁護士の連絡先が記されていました。
政府登録国際観光旅館の記載があります。
外国人の受け入れに適した設備を整えている旅館・ホテルである事を国が承認する制度です。
制度が始まったのが1949年なので、ベッドや洋式トイレといった設備面や、英語が話せるスタッフや、英語での施設内の案内などが整っているのかといった、現在的な感覚ではわりと平易な要件です。
古い旅館、ホテルではこのように大きく掲示しているところが少なくありません。
制度が始まった頃は大きな売りになっていたのでしょう。
次はプール跡です。
建物の中には入らないので、見られるのはここまでです。
窓がある建物の向こう側に大型のプールがあります。
建物は更衣室などの施設です。
受付に価格表が残されていました。
民間が運営するプールなので、これくらいでしょうか。
私の記憶に薄っすらと残るプールの施設類を考えると、ちょっと高めの設定かなとも思いましたが、受け取り方は人それぞれということで。
ハワイアンプールのロゴというのか、キャラクターというのか…も残されていました。
懐かしいです。
余談ですが、このプールの施設の辺りで人を見かけました。
建物の中に(笑)
急いで隠れているようでしたが、どうやらプールの方から旅館に入り込めるようです。
恐らく特別な観光を楽しんで、意気揚々と戻ろうとしたらプールの価格表を眺める私を見つけて慌てて隠れたのでしょう。
ここは山をだいぶ上った場所でありながら、意外と人の行き来が多い場所です。
通報されるような事になっても面白くないですし、中に立ち入るような事はしないようにしましょう。