【国民宿舎の今】第6回:津黒高原荘|現役施設の「脱退」という選択

津黒高原荘とは

1982年の観光便覧を入手しました。
その中には、当時の国民宿舎・国民休暇村の一覧が掲載されています。

せっかくの資料なので、
「当時そこに載っていた国民宿舎は、今どうなっているのか」を調べ、実際に現地を訪ねてみることにしました。

観光便覧に掲載されている国民宿舎・休暇村について調べる記事も今回で6回目になります。
これまで訪れた施設は、すでに廃業しているものばかりでした。
しかし今回は珍しく、現役で営業を続けている施設です。

正直に言えば、現役施設については「今の様子」をあえて詳しく書く必要性は感じていません。
行けば分かるし、公式サイトもあります。

それでも今回取り上げたのは、
津黒高原荘がかつて国民宿舎であり、今はそうではない
という点が気になったからです。

現在の津黒高原荘について

繰り返しになりますが、津黒高原荘は現役の宿泊施設です。
建物はきれいに管理されており、特に問題点を挙げるようなところはありません。

ただし現在、
津黒高原荘は国民宿舎ではありません。

国民宿舎という制度は、「一度入ったら抜けられない」ものだと思っていましたが、調べてみると、普通に脱退できる仕組みのようです。

では、そもそも「国民宿舎に入会するメリット」とは何なのでしょうか。

国民宿舎に入会するメリットとは?

国民宿舎を管理する一般社団法人 国民宿舎の公式サイトを確認してみました。
会員登録に必要な費用は、

・初期費用:22.7万円
・年会費:12.7万円

決して安い金額ではありません。

それに対して得られるメリットとして挙げられているのは、

・「国民宿舎」というブランドイメージ
・冊子・公式サイトへの掲載
・契約企業からの送客
・ビールの仕入れ実績に応じた報奨金

といった内容です。

正直なところ、広告効果はどうなのか

まず、冊子や公式サイトへの掲載について。
公式サイトの案内によると、サイトへの年間訪問者数は約52万人とのこと。

この数字をどう受け取るかは人それぞれですが、サイトを運営する立場から見ると、かなり少ないという印象です。

年間12万円の年会費を払って得られる広告効果としては、正直、コストパフォーマンスが良いとは言い難いでしょう。
同じ金額を広告費に回した方が、効果は見込めそうです。

冊子についても同様で、しかもこちらは有料配布。
大きな集客力を期待するのは難しそうです。

「名乗らなくても結構です」という一文

 

一方、送客や公的イメージについては、
一定の価値があるようにも思えます。

……と思っていたのですが、
入会案内を読んでいて、気になる一文がありました。

「加入されても、国民宿舎を名乗らなくても結構です」

これ、なかなか意味深です。

おそらく「施設名が変わるのでは?」という不安を払拭するための文言なのでしょうが、
逆に言えば“名乗らなくてもいい程度のブランド”とも受け取れてしまいます。

こうした点を考えると、
脱退する施設が出てくるのも不思議ではありません。

 

という事で、脱退する施設があるのも分かるような気がします。
岡山県内でも先に紹介した玉野荘は後継の施設としてマリンホテルが出来ましたが、国民宿舎には入会しませんでした。
マリンホテルの完成が1988年。その頃には国民宿舎への入会のメリットは余り評価されていなかったのでしょうか。

ということで、今回は施設そのものよりも、国民宿舎という仕組みを眺める回になってしまいました。

とはいえ、「現役施設がなぜ国民宿舎をやめたのか」を考えるには、津黒高原荘はちょうどいい題材だったと思います。

次回は、鏡野町の錦山荘を予定しています。
よろしくお願いします。

 




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