2021年10月の玉野市長選に立候補を表明している、現市議の赤松みちひろさん。
前回は政策の概要を書いたチラシが各戸配布されましたが、今度は第2弾である政策の概要のチラシが届きました。
今回はそちらを深堀りしてみたいと思います。
関連リンク:赤松さんかわら版第一弾の感想
赤松さんかわら版第三弾の感想
「コロナ対策と総合医療」の充実
前回のチラシでは「迅速なワクチン接種の環境整備、アフターコロナを見据えた地域振興への対応」として挙げられていた項目です。
まず総合医療について。
玉野市の医療センターは岡山市、倉敷市の高度急性期病院のバッグベッドとして、地域型の総合病院を目指すそうです。
要するには難しい医療は岡山、倉敷の大型の病院に任せて、その前段階を担うということですね。
既に市内の病院はそういう役割になっているような気もしますが、焦点をそこに合わせるのは玉野医療センターの方向性が明らかになっていて良いと思います。
語弊はあるかも知れませんが、簡単な症状は玉野で、難しい症状は岡山・倉敷で治しましょう、と。
明言はされていませんが、玉野医療センターの予算というのはその範囲内で収めましょうという事ではないでしょうか。
続いてコロナ対策。
前回のチラシではワクチン接種の環境整備となっていました。
私はそれは10月にやることではない、今やれと書きました。玉野市は概ね順調に接種が推移していたので、10月時点で環境整備を整えるのはおかしいと考えたのです。
実際にそういう意見が多かったのかも知れませんが、コロナ禍の収束に時間がかかるであろう想定のもとでの医療体制のありかたというように、ややニュアンスが変わっています。
そしてアフターコロナを目指しては不景気の影響を受けている人に対しての支援体制の構築。
ただし内容については具体的に書かれていません。
現金なのか、それとも業界を盛り上げるための施策なのかは不明です。
最後は「断らない医療」。
前回は市民から要望の多い項目として挙げられていました。
救急体制の充実については前回も今回も具体的な内容は無し。
そして常勤の小児科医、泌尿器科医の体制です。泌尿器科への言及は今回が初めてです。
前回のかわら版でよく判らなかった「午後診療」とは、小児科と泌尿器科の事だったようです。
どちらの科も市民病院の方は午前中の診察のみです。
その改善ということですね。
「地域格差のない平等な教育」の充実
まずは待機児童。
4年間で待機児童をゼロにしますという政策です。
幼保一元化、民間保育園の誘致が掲げられています。
これについてはネット検索で玉野市の最新の待機児童の数が出てきませんでしたが、ガッコムで公開されている2019年4月時点の保育所等待機児童率は0%です。
なのでそもそも待機児童は少ない筈です。
とりあえず最初の任期で解決しやすそうな問題を挙げておいて、2期目の布石にするとか…そんな目的なのではないかと思いました。
ちょっと嫌味な見方でしょうか。
続いて幼稚園給食のモデル事業。
これは給食センターの新設に伴う事業です。
市長選のもうひとりの候補者である柴田よしろう氏が給食センターの見直しを掲げているので、恐らくそれに対抗して新しい給食センターの必要性を説くための政策でしょう。
そして市立高校の機械科・ビジネス情報科の充実からの市内就職の支援。
市商の事ですね。
しかし赤松さんの政策に企業誘致は入っていません。(※かわら版3で追加)
このままの状況で市商の子たちが市内就職を望んだとして、玉野に働く場は残されているのでしょうか。
最後は特別支援教育の更なる充実です。
これはもちろん非常に大切なことです。
しかし前回も引っかかったのですが、「更なる」という事は現時点で充実していない訳ではないんですよね。
現状が不足していないなら、後は正常進化させれば良いわけです。
それを政策としてチラシに打ち出してくる理由がよく判りません。
市議としてのご活躍について私は不勉強でよく存じ上げないのですが、氏が特別支援教育の問題に特に熱心なのか、それとも支援団体との兼ね合いなのか。
個人的には今回の内容を読んでもやはり引っかかります。
ここまでがステップ1とされています。
続いてはステップ2に分類されている内容です。
「玉野の未来」を見据えた行政改革に取り組みます
①事業の見える化、その事業の持続可能性についての検証
事業のムダの廃止についてです。
何の事業なのかについては明言されていません。
あくまで市民の声で決めるということでしょう。
個人的には前回も書いたのですが、玉野市斎場での葬儀場の提供はもう良いのではないかと思います。
民間の式場が幾つも揃っている中で、葬儀に伴う職員の夜勤や人数の配備をしてまで続ける意義は無くなってきていると思います。
仏具、霊柩車などの無料提供、遺体用冷蔵庫の運用で充分だと思います。
式場に使っている部屋の名前は「待合室」です。
名称から分かる通り火葬後の待機場所として整備した筈ですから、そのように運用すればいいのではないでしょうか。
民間移譲が出来る状態は既に整っているので、市民への影響を少なく実施可能でしょう。
余談ですがこの項目に書かれている「民間で培った経営感覚」。
現市長の黒田さんは議員秘書~市議~市長と、政治家一直線。
候補者の柴田さんは県職員出身の公務員。
なので民間出身である事はアピールになりますが、職歴を見てみると三菱のカーディーラーと保険代理店勤務。
細かい言い方になりますが、決して経営者経験があるわけではないのですね。
②公共施設再編整備
これについては前回と同じです。
前回は地域に合わせた公共施設の適正化について言及されていましたが、今回は触れられていません。
③行政職員の人員適正化
財政運営の安定を目的とする事が明記されています。
なので適正化=職員数のカットと思っていいでしょう。
人数のことについては私は判りません。
中で働いている人の問題であって、彼らが多くて手が空く事が多いなら減らすべきでしょうし、逆に仕事に追われて残業続きなら配置換えや増員が必要です。
赤松さんが市議として見ていて多いと感じているという事なので、内情を知らない私が感想や意見を述べるべきではないでしょう。
暮らしやすさの充実
①市役所にデジタル対策室の新設、デジタルトランスフォーメーションで無駄を省き、SNSや電子媒体での情報発信を目指します。
SNSについてはFacebookとInstagramはわりと上手く運用していると思うのですが、Twitterが下手ですよね。
フォロワーもあまり多くないですし。
Twitterは文字数の制限があるので細かな情報の発信には不向きですが、拡散力が高いので、市としてはもう少し力を入れるべきでしょう。
個人的にはタイトルが長すぎると思います。
②「断らない相談室」
8050問題、7040問題をはじめ様々な相談に…と解説されています。
8050は引きこもりの高齢化問題です。
子供の引きこもりが解決できないままに歳を重ねてしまい、80歳になった親が50歳の子供を養うモデルケースから8050問題と呼ばれています。
個人的にこの解説の仕方は嫌いです。
「断らない相談室」という物がどういう働きをするのかが大切なのであって、その前に8050問題を出してくるのは「こんな事も気にしていますよ、配慮しますよ」というアピールのように見えます。
③障害者の就労支援
尚、赤松さんは丁寧に「障がいをお持ちの方」と書いています。
こちらはブログの表題なのでシンプルにしました。
充実を目指しますということですね。
④シーバス、シータクの充実
色々な事故があり、高齢者の免許返納を促す流れは年々強くなっています。
それを実現する為にシーバス、シータクを充実させて、市内の交通網の強化を目指すそうです。
これは全国的な流れですし、良いのではないかと思います。
私はまだ返納するには遠いですが、実は余り車の運転するのが好きではありません。
移動時間は出来れば本を読んだり、別のことに時間を割きたいので…、充実すれば私自身も使いやすくなって助かります。
⑤フレイル予防や認知症予防のため、サロンなどの集いの場に専門家を派遣する
市が無料か格安かは判りませんが、講演などをプロデュースするということでしょうか。
これは喜ばれるかも知れませんね。
実は前の会社でそういう取り組みをしていたのですが、サロンなどによってはやる事のマンネリ化で、違うことの提案が喜ばれたりする事はありました。
ここまではステップ2です。
続いては「玉野の新しいステージへ」という項目です。
玉野市の魅力ある街づくり
①観光
ここは個人的に注目なのですが、市内の観光地について書いている順番がそのまま引用して
年間148万人の来場者を誇る「みやま公園」、「渋川・王子が岳エリア」、「宇野港エリア」などの地域資源
…なんですね。
たかが書き方ですが、順番が凄く良いと思います。
私自身も宇野港が玉野の観光で重要な場所なのは否定しませんが、宇野・築港に偏向しすぎだという声は市内でよく聞きます。
宇野港には予算のかかったオブジェが作られるのに、多くの来園者があるみやま公園では子供が入って遊ぶ小屋の屋根に穴が空き、あちこちに壊れたベンチが放置されています。
宇野港を冷遇する必要はありませんが、もう少し全体的に行きましょうよと思います。
閑話休題。
盛り上げる方法として倉敷美観地区、岡山後楽園などの県内の観光地との連携が挙げられています。
これは何をどう連携するのでしょう。
倉敷美観地区については、実際には個々の商店の集まりです。
個人的にはそれらとの連携は難しいのではないかと思いますが…、例えば道の駅みやま公園の売店で倉敷美観地区の人気アイテムのアンテナショップとかなら行ってみたい気もします。
デニム製品、デニムまん、倉敷帆布、有鄰庵のプリン…。あー、食いてぇ。
岡山後楽園などの観光地なら可能性がありそうなのはイギリス庭園や水族館との共通券かとも思いますが、距離が難しい気がします。岡山を観光して玉野まで来ていたら、それで一日が終わります。
どのような構想なのかもう少し詳しく聞いてみたいですね。
②魅力発信
これは先程のデジタルトランスフォーメーションの事でしょうか。
ただしSNSについては発信のする事だけではなく、どのように発信するのかも重要です。
単に情報だけでは余り読まれづらいので、重視するなら面白さの要素は大切です。
市役所内でSNSが上手い人を募るのか、外部からライターを入れるのか。
市のSNSらしく堅くいくのか、それとも一部の企業公式のように緩めにいくのか。
その辺りはしっかり検討すべきでしょう。
③商工業の発展推進
基幹産業と商工業者、市内商工会議所などと連携して国や県に声を届ける…という事だそうです。
この辺りで私と赤松さんは考えが異なるようです。
赤松さんは基幹産業を守ることを考え、私はその基幹産業がどうなるのかを考えています。
造船についてはとりあえず三井E&S造船が三菱重工に置き換えられるだけという船出になるようです。
しかしその先には、下請けがこれまで通り仕事を貰えるのか、更には三井の工場を取得しなかった三菱重工がずっと玉野で造船業を続けてくれるのかという問題が残されています。
更に三菱で手がけない商船分については完全にマイナスになります。
なので私は造船が駄目になった時のために基幹産業を増やすことが先決だと思います。
赤松さんの③の内容を見る限り、今後も造船業を中心に進めていく方針のように思えます。
赤松さんは現役の市議ですから、三菱重工による今後に問題がないと確信するに足る情報を持っているのかも知れませんが…。
スポーツ・文化振興による活気ある街づくり
①生涯学習サポート事業
5人以上の団体に専門家の派遣…ということで、先に挙げたサロンなどへの専門家の派遣の全年齢版ですね。
内容はコーラス、楽器、絵画、俳句、ダンス、料理、外国語、書道、茶華道…と、なんでもござれなので、上手く行けば玉野市内で習い事をする人が増えるかも知れません。
少し気になるのは講師として派遣されるのが、市内でそういう活動をしている人に協力してもらうという形になっている事です。
ここは現時点では未確定要素ですね。
市内にそういう活動に長けている人が居て、なおかつ人に市主催で教える事業に賛同してくれる事が条件となります。
要するに人に教える事を承諾してくれるハイアマが狙い目になるのでしょう。
この辺りが絵に描いた餅にならなければいいなと言う懸念はあります。
方針としては面白いと思います。
②ビーチスポーツの強化
これは意外と盲点だったような。
場所は提供してるから盛んだよね、みたいな…。
確かに作ったっきりのような印象はあります。
③障害者スポーツの支援強化
何度もいいますが、これは言うまでも無く大切なことです。
パラリンピックもあるので、雰囲気的にも盛り上がっている時点での取り組みになりそうです。
しかし様々な政策に逐一挟んでくるのは、本当に支援団体か何かの関係があるのでしょうか。
福祉のまちづくりなどの方針が出ている訳ではないので、この点については少しくどいように思いました。
④自転車の街
これは不思議と柴田さんとカブるんですね。
海岸線が長いので、サイクリングが好まれる地域柄もあるのでしょうか。
ロードレース(仮称:ツール・ド・玉野)の開催も検討するそうです。
そういうイベントは面白そうですね。
コースが複数地域にわたれば、今まで観光資源に乏しかった地区にも好影響が出そうです。
⑤天然芝のグランドゴルフ場、ボルタリングの環境整備
天然芝は案外簡単にできそうですね。
玉原総合運動公園で大会が開催されているので、その辺りを整備直せば良さそうな。
市内全体を整備するとなると、維持管理が大変そうな気がしますが…。
ボルタリングの環境整備は既にみやま公園で進められています。
個人的にはもう少しお金を落としてもらう工夫があってもいいのかとは思います。
…ということで、以上が赤松さんのかわら版第二弾を深堀りしてきました。
先日は柴田さんの政策を解説するYouTube動画を見ての深堀りもしてきましたが、現在の市政のブラッシュアップを目指す赤松さんと、改革派の柴田さんという路線がはっきりしてきたようです。
個人的な感想としては、赤松さんの政策は急務ではない事が多く含まれている印象です。
無いものを新設しようとする柴田さんに対して、現状である程度は出来ている事のブラッシュアップを掲げる赤松さん。
やはり現在の市政の延長線という位置づけなのでしょう。
ただ柴田さんの政策の実現のためには税収アップが必須ですが、掲げている政策ではふるさと納税の増加、企業誘致による税収増という、やや不確定要素になっています。
ここが上手く回らなければ財政に余裕のない玉野市で新たな取り組みをするのは難しいでしょう。
現時点では面白みに欠ける堅実な政策ながら実現はできそうな赤松、夢はあるけど実現可能性に多少の疑問符が残る柴田、そんな感じでしょうか。
赤松さんもYouTubeのチャンネルで解説しています。(リンク)
現在は配布したかわら版の解説をしているだけなので、特に深堀り記事を出す予定はありません。