2021年10月に実施される玉野市の市長選に立候補している柴田よしろうさんがポスティングした葉書が届いていました。
せっかく手元にあるので、その内容について考えてみましょう。
※この葉書の後に出されたYouTubeチャンネルでの動画についての感想も書いています。
リンク:柴田よしろうさんの政策について動画を見て深堀りしてみた
「子育てがしやすく住みやすい町」
・玉野医療センター(※市民病院、三井病院)への産科の設置
玉野市内に産科を持つ病院は無いのですね。
私は片山産婦人科があると思ったら、既に産科はやめておられました。
玉野市の立地的に岡山市南区の産科へのアクセスが良いという事情もあると思いますが、人口問題に取り組もうという市に産科が無いのは寂しいです。
・出会いの場の提供、新婚家庭への支援金
マッチングイベントなどでしょうか。
これは様々な自治体でも取り組んでいるので、強化していくべきでしょう。
・英語教育の強化、公営住宅の改修、子供の貧困対策
子育てのし易い環境づくり。
上手く「玉野市は子育てをしやすい」というイメージがつけられれば、倉敷、岡山という人口集中地区に近い利点もあるので子育て世代の転入も期待できそうです。
・転入超過を目指す
これは言うまでもなく。
随分と減ってしまいましたから。
「産業振興と観光の魅力向上」
・企業誘致
三井造船が造船不況で弱体化してしまいました。
三菱重工に引き継がれましたが、いつまで玉野を拠点として造船業を続けるのかも不透明な情勢です。
一つの会社に依存する企業城下町の体質からの脱却は至上命題です。
・地域内で経済が循環する取り組み
これは非常に重たい問題です。
市内に店や企業が充実していないので、市民の収入は岡山市や倉敷市で消費されがちです。
この問題の解消は企業誘致にも繋がると思います。
計画が停滞したままのハローズ玉野店の開業もどうにかならないものでしょうか…。
私も岡山市で働いていましたが、仕事が終わって帰宅していると玉野市内ではお店の営業時間が終わっていて、お金の落としようがない状況もあります。
・宇野港周辺の魅力作り、市内の観光地との回遊性の向上
個人的にこれは反対です。
高松市からの直通便が途絶えた今、宇野港は南から人の来ない行き止まりの場所です。
市として力を入れるのであれば、私は現時点でも大勢の集客があるみやま公園やその周辺だと思います。
現時点で宇野港周辺では移住者などが中心にカフェなどの店が増えつつあります。
市としての取り組みはそういうお店が開業しやすい環境、空き家対策などに留めていいのではないでしょうか。
・自転車のまちとしての整備
これはした方が良いというか、玉野市は余り充実していない印象です。
自転車のまちを目指すかどうかは別にして、せっかくの景勝地で自転車が移動しづらいというのは避けたいですね。
最も手掛けるべきは倉敷市へつながる道になりますが、国道430号の渋川海岸沿いの道でしょう。
・「ののちゃん」のPR強化
柴田よしろうさんはNPO法人たまのの企画の理事を務められているそうです。
なのでここに関しては本当にその必要性を感じているのか、支持母体であろうNPOに配慮してなのかは正直わかりません。
作者の石井さんサイドとの契約の内容がどのような物なのか把握していませんが、市が自由に使えるオリジナルキャラクターを目指す方向性があっても良いのではないかとも思います。
「文化を感じるまち」
・街中でのコンサートなど文化、芸術に関するイベント支援
これは新市民会館建設への布石なんですよね。
市民会館を閉館した為に市内でそういうイベントを行う為の大きな会場が無い状況です。
なのでそういうイベントが市内で途絶えないように…という事でしょう。
・歴史遺産の保存や伝統文化の継承
これに関しては具体的に何の事なのか微妙に判りませんでした。
玉野市は比較的近い年代まで海だった場所が多く、余り歴史遺産などには恵まれない土地柄です。
保存の必要な歴史遺産や、継承していく伝統文化というのがパッとは思い浮かびません。
個人的に挙げるなら日吉神社でしょうか。
何度か参拝しましたが、車でも便の悪い立地故に、限られた地区の氏子だけで辛うじて管理が続けられている状態です。
かつては市外からの参拝者を集めた由緒正しい神社、公的な資金を入れるべき場所だと思います。
関連リンク:日吉神社に行ってきたよ
「安心して住み続けられるまち」
・空き家の利活用、買い物難民の対策など
空き家は増えていますが、既に利活用と言うよりは市の予算で更地にしたほうが良い建物も多いように思います。
しかしまだ新しい家なら、移民による古い民家のリノベーションも期待できそうです。
ただし人が住めそうな家なら所有者もいるでしょうし、市が買い上げるのか賃貸にしてもらうのか、所有者の意向も含めて簡単な問題ではなさそうです。
・買い物難民の対策
これは先にも書きましたが、ハローズ玉野店を…(笑)。
現実的には東児地区でしょうか。
東田井地のタマヤ以外では個人商店のようなお店ばかりです。
もう少しお店が誘致できれば、非常に住みやすくなります。
東児は岡山市街地へのアクセスの良さなど、意外とポテンシャルが高いエリアだと思います。
これにはメルカの問題もあると思います。
メルカは市との関わりがあるので、一部に多少不便でもメルカに人を集めたい意向があるのではないかと感じます。
お店の誘致はスムーズに進むのかな?と疑問に感じます。
現実的には移動スーパーなどなのかもしれません。
・市民センターの機能の一部見直し
明確に書かれていませんが、市民センターでの手続きの復活でしょう。(後にYouTubeで明言)
コンビニでの対応や宅配サービスを理由に、税金や保険料の支払い、証明書の発行といった業務の市民センターでの手続きが廃止されました。
市民センターの人件費削減という理由もあるようですが、個人的にはそういった機能を削減するならそもそも市民センターに常勤スタッフを配置する必要について踏み込んだ議論も出来そうな気がします。
それを再開するとなると相当の予算が再び必要になります。
後述する企業誘致、ふるさと納税から税収を増やす事を目指すという方針では、ちょっと不足感は否めません。
・若者の力の活用した地域の活性化
これは大切なことですね。学生時代から携わることは、人が市に留まる要因にもなると思います。
ただし玉野市の高齢化率は2015年の時点で35.4%です。
高齢化率が42%もある久米南町では高齢化に寄り添った町づくりを進めています。
高齢者が市内の人口の多くを占める状況は事実なのですから、彼らを置き去りにした地域づくりはありえません。
すべての年代が等しく活性化に参加できるのが好ましいと思います。
・情報公開と行財政改革
情報公開についてはもっと進めてほしいです。
市民会館のように議論の余地もなく、急に決定事項として大きな事が降って湧いてくるような状況は改めるべきです。
図書館がメルカに入った件も、好条件の提示があったとは言え、やや不透明な感じを受けました。
・財政健全化
収入増の方法としてふるさと納税が挙げられています。
玉野のふるさと納税の返礼品はこちら→ふるぽ・玉野市
食べ物も美味しそうな物がたくさんありますが、市民の私でも「玉野でこんな食べ物があったんだ」と思うようなラインナップです。
恐らく市外の人も同じで、ふるさと納税の返礼品は○○市と言えば!というものがほしいのだと思います。
残念ながら、玉野はそこまでの名産品には恵まれていないと思います。
ふるさと納税からの収入増を目指すのであれば、先に押しも押され名産品の開発から始める必要があると感じました。
やはり先に掲げていた企業誘致による法人からの大きな納税が一番手っ取り早いでしょう。
しかし企業誘致にしてもすぐに対応できる事ではないでしょうし、ふるさと納税に至っては不透明感が強いです。
感想
今回の葉書の内容以外にも柴田よしろうさんは玉野医療センター、給食センターの計画の見直しに言及しています。
内容から考えるに、柴田陣営は不出馬を表明した現職の黒田市長が再び選挙に出てくる事を想定して居たのではないかと思います。
黒田市政で批判が出ていたポイントを上手く突いてきている印象です。
ということは支持団体は異なるのでしょうか。
今後、黒田市長を支持してきた団体から対立候補の擁立があるのかもしれません。(後に赤松市議が立候補)
個人的な感想で言えば、堅実な構想を掲げられているなと思います。
元県庁の職員だそうですが、悪く言えば役人らしいなと。
期待を込めて言えば実現出来そうな玉野の将来のビジョンだとも思います。
ただし色々とやるのに対して、財源がふるさと納税と企業誘致による税収増というのは、ちょっと不確定すぎるとも言えそうです。
いつかの民主党政権の時代のように、蓋を開けたら埋蔵金は無くて実現できませんでした…そんな風になるのではないかという懸念もあります。
後にYouTube動画などで詳細を解説しましたが、病院については当初の見直しとは逆により厚い方針を打ち出しています。
…と、不安な面もありますしそれぞれに色々な感想はあると思いますが、個人的には柴田市長はアリかなと感じました。
※この記事の後で玉野市議の赤松みちひろが立候補を表明しました。
そちらの公約ついての記事→赤松みちひろさんの公約を考えてみた
3 thoughts on “【玉野市長選】候補者・柴田よしろうさんの公約を考えてみた”