私がHPを作り出したのは2002年の冬です。
思えば長く続けてるものですが…、当時を知る身として2002年頃に使われていたHP関連の言葉を少しご紹介します。
・リンクフリー
もはや感覚的にも存在しなくなってしまった言葉です。
昔の日本のWEBでのマナーでは、リンクというのは相手に承諾を得てするものでした。
「リンクしてもいいですか?」と問いかけ、「はいどうぞ」だったり、「記事へのリンクではなくトップページにしてもらえますか」といった感じでお答えを頂くものでした。
いわゆるネチケットってやつです。…これも既に死語でしょうか?
お互いにリンクし合う事を相互リンク、相リンと呼びました。Twitterの相互フォローという言葉はその系譜にある言葉ですね。
現在、SNSなどでも普通にリンクを貼ってシェアしていますが、昔の感覚では「勝手にリンクしてる」のです。
ただそれを逐一問われるのも面倒だという人は、好きにリンクして良いですよ!という意味で、『当サイトはリンクフリーです』と書いていました。
余談ですがリンクフリーというのは和製英語です。
ちなみにネチケットはIETFという組織が提唱した言葉です。
トップページにネチケットについて解説したページへのリンクを貼っているサイトも多くありました。
・掲示板、BBS、ゲストブック
現在もまだ残っていますが、徐々に減ってきている掲示板。
上記三つの使い分けは微妙ですが、当時の感覚的には会話をする為のものが掲示板=BBSで、ゲストブックは一度きりの挨拶用という感じ使い分けられていたように思います。
ちなみに書き込む事はカキコと呼ばれました。悪意を持って書き込む場合は荒らしでした。
(使用例:「俺がカキコしたら、荒らしが来た」)
元々コメント欄を持つブログや、SNSのサービスの普及までの間は重要なコミュニケーションツールとして愛されていました。
2chのように掲示板を主体としたサイトを掲示板サイトと呼び、大小様々に存在していました。
CGI BOYなんてサービスもありましたね。
自分たちでシステムを作る自作CGIは設置自体もそこそこ難易度が高く、更にホームページのサービスによって対応していなかったり、使用上の制限があったので無料の掲示板サービスはとても重宝されました。
・Sorry,Japanese Only
世界へ対する「日本語だけで作ってます。」という謝罪文です。
なぜか個人サイトによく記されていました。
しかしこれが掲載される事が多かった頃から、見りゃ判りますという感じで、既に茶化されていました。
インターネットは全世界へ情報を発信できるツールです!という事が盛んに叫ばれていた時代の夢が詰まった一文です。
テキスト主体のHPが多かった事も影響しているのかもしれません。
ただこの書き方だと日本人以外お断りの意味にもなるのだとか。
・管理人、管理人の部屋
HPを作っている人の事を管理人と呼びました。
これは現在でもまだ見られますが、個人でサイトを作る人が減ってきたので見る機会が少なくなりました。
響きもちょっと大仰過ぎるので、私は自分のサイトで管理人とは名乗っていません。
HPを作っている人の趣味をフィーチャーしたページを管理人の部屋と称しているサイトも多く存在しました。
いつの間にやら本来の趣旨から外れて、管理人の部屋が一番更新されていたという流れは当時の定番です。
・ハンドルネーム
現在ではニックネームなどの呼称が多くなったので、余り使われなくなったネット上での名前の呼び方がハンドルネームです。
ネット上に一般人が本名を出す事が珍しい時代だったので、みんなそれぞれに色々と名乗っていたものです。
黒歴史として封印している方もいるのではないでしょうか。
略称はハンネ、使い捨てにするハンドルネームは捨てハンです。
匿名が大半を占める2chのような掲示板であえてハンドルネームを設定する人は固定ハンドルネームの略でコテハン、コテと呼ばれます。
略する場合の表記はHNです。
・音量注意!
ページを開くといきなりBGMが再生するという罠を仕込んだ…もとい、オシャレなHPも存在しました。
そういうページで音量について注意を呼びかけるための一文です。
しかし唐突に音が流れるので、音量注意!を見た時には既に手遅れというケースも。
さすがにこのタイプのHPは嫌われ、徐々に再生ボタンを押せば流れるというタイプに変わり、やがて余り見かけなくなっていきました。
ダイヤルアップの時代に多く見られましたが、当時の細い回線では音楽のダウンロードも大きな負担でした。
サイト自体の表示に時間が掛かりすぎるとブラクラ扱いされるケースもありました。
・ROM
HPや掲示板を読むだけの人。
パソコンのROM=Read Only Memoryをもじって、Read Only Memberとしていたものです。
たまに書き込む人が使う場合は「ROMしてた」で、一切書き込みしない人は「ROM専」と呼ばれました。
・オフミ
オフ会のこと。元々はオフミと呼ばれていました。
これはOFFLINE MEETINGの略です。
現在でもオフ会、オフはよく使われる言葉ですが、オフミはすっかり見かけなくなりました。
・ビルダー
ホームページビルダーの略です。
素人でもワープロ感覚でサイトが作れる事から人気のHP作成ツールでした。愛情を込めてビルダーさんと呼ぶことも。
最初はIBMのソフトで、途中からソースネクストに変わりました。
こういったソフトを使わずに作る事は『手打ち』又はWINDOWS標準のテキストエディタの名前から『メモ帳で作る』と呼ばれました。
サイトを作る上で使うツールにも色々とありましたが、当時の感覚的には…、
Dreamweaver>手打ち>ホームページビルダー>その他ソフト
…こんな感じで「すげー!」と評価されていたような気がします。
Dreamweaverは当時から別格でした。高いしね。
・キリ番
個人で作るHPの定番といえば、アクセスカウンターです。
サイトのトップページが何回表示されたのかを、わざわざ訪問者に公開するシステムでした。
そしてアクセス数の数字のキリが良い事(ぞろ目とか、1万件目とか)をキリ番と呼びました。
キリ番を踏んだ人は掲示板での報告が義務付けられる事も少なくなく、それを怠る事は踏み逃げと呼ばれました。
ちなみに報告をすると、トップページへ名前が掲載されたり、管理人お手製のイラストを描いて貰えたり等の特典がありました。
踏み逃げが何故起きるのかお分かり頂けるかと思います。
・Web2.0
2005年ごろに出てきたWEBサイトの新たな概念、Web2.0。
従来のWebサイトが一方的に情報を送る物だったのに対し、見る側もサイトにコミットしてくるようになる新たなWebの形を指します。
…が、個人サイトのレベルでは何が変わるのか判らなかったという人が大半では無いでしょうか。
・直リン
サイトを作る際に、素材サイトの画像をダウンロードするのではなくURLを取ってきて自分のサイトに貼る行為です。
よく判らずにしてしまう人が多かったようです。
しかし個人のWebサイトは容量の限られた無料のサービスで作られる事が多く、節約の為に悪意を持って行う人もいたようです。
その為、定期的に画像のURLを変更するという手間をかけていた素材サイトもありました。
確かホームページビルダーでフォルダ名の変更の各ページへの適用が一括で出来るとか、そのような機能があったと思います。
個人サイト自体が減ってきていて余り耳にすることはなくなりましたが、今でも当然やってはいけない行為です。
・個人がホームページを作る
SNSが全盛の時代に、まさにこれ自体が死語だな、と。
私も時代がずれていたら、サイトではなくブログなどのサービスを使ったりしていたかもしれません。
ブログのように決まったフォーマットからデザインなどを選んで簡単に作れるHPサービスもありましたが、HTMLを勉強しながら頑張って作った人も少なくありませんでした。
ちなみにホームページは、Webサイトの呼称として定着していますが、本来はブラウザで設定された起動時や、ホームボタンを押すことで表示されるページの事です。
起動時にYahoo!が出るなら、Yahoo!がホームページで、そこからGoogleへ移動した場合、googleはWebサイトです…が、現在はWebサイトの別名がホームページで定着しているので、こういう細かい事を言うと、嫌われます。
以上、ちょっと懐かしいキーワードを紹介してみました。
郷愁に浸っていただけましたか?