津山市小原を歩いていると、ふと視界に飛び込んでくる“ある紳士”の姿があります。
それは人物そのものではなく、建物の外壁に描かれたイラスト。
場所は後藤酒店。店舗の壁面に、ひときわ目を引く紳士の姿が描かれています。
すらりとした立ち姿、帽子にステッキといういでたち。どこか物語の中から抜け出してきたような雰囲気があり、思わず足を止めて見入ってしまいます。
例えるなら、アルセーヌ・ルパンのような、クラシカルでミステリアスな“粋な紳士”といった印象です。
イラストはやや色あせており、新しいものではないことがうかがえます。長い年月、ここで街の移り変わりを見てきた存在なのかもしれません。派手ではないものの、強い個性を放ち、建物の雰囲気を印象づける“街角のシンボル”のようにも感じられます。
お酒を扱う酒店の建物に描かれた紳士というのも、どこか象徴的です。
お酒は豪快にではなく、紳士的にたしなむもの――そんなメッセージが込められているようにも思えてきます。
観光地の名所とはまた違う、津山市の何気ない風景の中にある小さな見どころ。
後藤酒店の壁の紳士は、そんな“街の物語”を感じさせてくれる存在でした。


