30km先まで響いた轟音。総社アルミ工場爆発事故、書類送検の重み
西日本豪雨から1年という節目、犠牲者を追悼するニュースの陰で、一つの大きな動きがありました。
総社市のアルミニウム工場で発生した大規模爆発事故を巡り、工場の社長と工場長が業務上過失致死傷の疑いで書類送検されたのです。
あの夜、岡山県南部を広域にわたって襲った「正体不明の爆発音」を、今も鮮明に覚えている方は多いはずです。
(事故前の工場)
「天災」の陰に隠れていた、判断の遅れ
事故の原因は、浸水によって炉の中に流れ込んだ大量の水が、高温のアルミニウムと反応して起きた「水蒸気爆発」でした。
今回の書類送検で焦点となったのは、「爆発の危険を事前に予知できたにもかかわらず、即座に操業を止めなかった」という疑いです。
豪雨という非日常的な場面において、避難判断の難しさは個人も企業も同じかもしれません。特に企業ではそれに伴う経済的な損失、更には取引先への責任問題なども絡んできます。
そこに雨くらいで…という、岡山県民特有の思いがあった可能性は捨てきれません。
しかし、一歩間違えれば地域を吹き飛ばすリスクを抱える工場にとって、その判断の遅れは取り返しのつかない「過失」へと繋がってしまいました。
玉野まで届いた衝撃波の凄まじさ
爆発現場は総社市でしたが、その衝撃は凄まじいものでした。 現場から約30km離れた玉野市にいた私でさえ、はっきりと爆発音を確認できたほどです。
近隣住民の方々の恐怖は、想像に難くありません。
付近は民家の窓ガラスが割れ、火災が発生し、豪雨の中で逃げ場を失う…。まさに悪夢のような光景が広がりました。
「想定外」で済ませないために
西日本豪雨という未曾有の災害下では、多くのことが「想定外」として片付けられがちです。
しかし、今回の書類送検は、どんな天災の中にあっても、生命を脅かすリスクを抱える当事者には「最悪の事態を予見し、回避する義務」があることを改めて突きつけています。
工場が吹き飛ぶほどの爆発。それは、自然の猛威に人間の判断ミスが重なった結果でした。この書類送検が「災害時における企業の安全管理」を根本から問い直す、重い教訓となることを願わずにはいられません。

