岡山県の公式サイトで「県政への提言」というコンテンツがあります。
県民から寄せられた県政への要望などの意見の内、幾つかを回答付きで掲載するものです。
今回は令和5年10月分を読んでみましょう。
県立高校生の自転車ヘルメット着用について
〇先日、テレビでヘルメットの着用率の話題を見たが、岡山県は残念ながら下位だった。着用率トップの愛媛県は、「県立高校生のヘルメット着用の義務化」をしているそうだ。
是非、「県立高校生のヘルメット着用の義務化」をお願いしたい。⇒生徒の安全や命を守るためにも、まずは生徒自身が自転車利用時のヘルメット着用の効果や重要性を理解し、進んで安全な行動が実践できる資質・能力を培う安全教育が重要と考えております。
現時点では、県教育委員会において県立高校生のヘルメット着用を一律に義務化することまでは考えておりませんが、引き続き、学校での交通安全教室等を通じて、ヘルメット着用に関する生徒の意識が向上するよう働きかけてまいります。
また、お話のあった愛媛県での取組をはじめ、他県の状況も注視してまいりたいと存じますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
努力義務とされている自転車でのヘルメットの着用に関する提言です。
まず岡山県がヘルメット着用率で最下位とのことですが、テレビで取り扱っていた数字は何の数字だったのでしょう。
直近の数字としては秋の交通安全運動の際に警察庁が発表した数字がありますが、2023年7月での調査で岡山県のヘルメット着用率は7.4%。これは低い数字である事は間違いありませんが、最下位ではなく34位です。
最下位の新潟が2.4%である事を考えると、そのテレビのランキングがどのように導き出されたものなのか気になるところです。
しかしトップの愛媛が59.9%、全国平均でも13.5%という事を考えると、岡山県が低いという点は変わらず、せめて全国平均レベルにまでは上げていかないと恥ずかしいというか、情けないというか…。
トップである愛媛県での取り組みについてみてみると、2013年という努力義務化よりもずっと早い時期から条例でヘルメット着用を推進しており、更に2015年には提言にある通り県立高校の生徒に対して通学時のヘルメットの着用を義務化しています。
これは通学中の高校生の死亡事故が相次いだ事に起因しており、県でもヘルメットの無償提供などの推進策を行いました。なので単純に義務化するだけで浸透したという物ではない点も重要です。
自転車の利用者の中でかなりの数を占める高校生がヘルメットを着用する事が愛媛県の数字を押し上げているという面もあります。二位の大分県でも同様に県立学校を義務化、三位の群馬県では二校をモデル校として着用を義務化、ヘルメットの無償配布を行って普及に努めています。
数字を向上させることを重視するなら県立の学校での義務化は有効な手段であり、群馬の実績を見る限り一部の義務化だけでも効果は見込めそうです。
ただ愛媛県内のニュースなどを見ると、それが大人にまで波及しないという状況もあるようです。
岡山県では現時点で県立高校への義務化は考えていないようですが、全世代の着用を促すような施策を進めて欲しいです。
花粉発生源対策の広報について
〇以前から岡山県は花粉対策に取り組まれているが、是非ともこの時期に、もっとメディアに宣伝されてはどうか。
花粉の少ない種類の樹木植林を、知事が率先されて行っている点などを全国にアピールして欲しい。⇒本県での少花粉苗木を活用した花粉発生源対策につきましては、これまでもテレビやYouTubeをはじめ、県内での林業に関するイベントの場などを通じて、広報活動に取り組んできたところですが、いただいたご意見も踏まえ、今後も各種媒体を活用した情報発信に努めてまいりたいと存じます。
急に提灯記事のような質問が飛び出してきたので調べてみたら、前回の知事選が3年前なので来年の秋に岡山県知事選ですね。
花粉症対策にも取り組む素晴らしい県知事を紹介して、目指せ三選!でしょうか。
閑話休題。
こうした取り組みの効果が出てくるのは、まだ先になりそうで地味な功績にはなってしまいますが…。大切な取り組みではありますよね。
国民病に数えられることもある花粉症なので、将来的に「岡山県は花粉が少なくて住みやすいらしい」となれば移住先の選択肢に挙がる要素になる事も十分にあり得ます。大切な取り組みですね。
個人的には観光面で地味だった岡山県で、ネットなどでも話題になるような施策を行った事を評価していますが、新型コロナウィルスの流行で観光どころではない状況が続いたのは痛かったかですね。世界が閉ざされる事なく平穏に続いていれば、高い評価を得られていたと思います。
コロナの対策としては表情豊かに話す事が顔芸とからかわれたり、「岡山に来たことを後悔するようになればいい」という発言が賛否を呼んだりと、決してうまく立ち回れたとは言えない状況でした。
ここ半年くらいで観光需要も回復しています。もし三選を目指していくのであれば、残りの任期で得意の観光振興による実績の積み上げがどれくらい出来るかがポイントになるのではないでしょうか。