岡山県北部に位置する鏡野町。
人口約1.2万人の小規模な自治体ですが、町内には奥津温泉や県立森林公園といった高い人気を誇る観光スポットがあり、その知名度は県内でも決して低くありません。

さて、そんな鏡野町に「死納橋」として恐れられるスポットがあります。
今回の記事では死を納めるという不穏な名称の謎に迫ってみましょう。

まずは死納橋を御覧ください。

香々美川に架かる朱色の風雅な橋。
これが死納橋と呼ばれている橋だとは、とても信じられない雰囲気です。文字の危うさもそうですが、「死のう」という読み方も非常に不吉なものを感じます。

実際にこの橋には別に悍ましい謂れがあるわけではないのです。
御覧ください。

これが先程の橋の親柱です。
見事に「死納橋」と書かれて…い…る?

実はこの橋の本当の名前は「加納橋」です。
それが隷書体でやや崩したような書き方で表記された結果、死のように読める字になっているのです。
加の上の「力」の上を引っ張ったような飾り文字なのです。

しかし死納橋と呼ばれるようになったのは、単に文字がそれっぽいからというだけではないようです。

橋の入口は現在このようにバリケードで封じられています。
かつてこの先に朱峯(スホウ)と呼ばれる料亭がありました。橋はそこへ行くための順路になっていました。

しかし料亭は経営難で廃業します。
後にオーナーが自殺した、カーブミラーに幽霊が映る…などの怪情報が流れ、朱峯は心霊スポットとして知られるようになりました。そんな場所へ向かう為の橋だから「加納」が「死納」と読み間違えられるようになったという側面もあるのではないでしょうか。

それも今は昔。
朱峯の建物は火災によって焼失しました。道も進めなくなったこともあり、種々の噂も収束していきました。

橋に面白い看板があったので紹介します。
私有地に付き立入禁止の看板です。よく見かけるのは立入禁止、不法侵入の場合は罰金◯万円…というペナルティを課すものですが、死納橋の看板はちょっと違います。
写真を見て気づいたでしょうか?

1人30分につき1万円の罰金を科す

なんと従量課金制になっています。
橋から旧スホウ跡を見て帰って、約2時間程度でしょうか。
4、5万円あればスホウ跡に行ける…!というわけではないのでご注意を。不法侵入はそれ自体が犯罪なのでダメですが、なんとなくそのようにも取れる書き方をしているのが、面白いなと思いました。実際に計算して払った方はおられるのでしょうか。情報お待ちしております(笑)

なお、この手の看板はハッタリで書いているだけのものも少なくありませんが、橋にはソーラー電池と思われる防犯カメラが取り付けられています。これ以上はやめておいたほうがいいでしょう。

関連リンク:焼失した朱峯(岡山の街角から)

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