理科室に漂う「死の予兆」|津山市立鶴山中学校・硫化水素事故の教訓
2020年10月2日、津山市立鶴山中学校の理科室で、決してあってはならない事故が発生しました。
中学2年生の理科実験中、発生した硫化水素により生徒9人が頭痛や胸のむかつきを訴え、病院へ搬送されたのです。
事故の原因は、あまりに初歩的な「油断」と「管理の甘さ」でした。
概要
年代によって差異はあるかもしれませんが、理科の実験ではわりと定番の硫化鉄に塩酸を加える実験です。
この結果として、前述の通り硫化水素が発生します。

これを試験管の上から手で扇いで匂いを嗅いで、「くっせー」という感想を語り合う授業ですね。
この時にふざけていたのか、試験管を持っていた生徒の椅子を揺らした子がいて、こぼれてしまったそうです。
周囲にいた7人に胸のむかつきや頭痛の症状が出ました。
また手で扇がずに直に匂いを嗅いだ生徒2人も体調不良になりました。
危険性のある実験で教師が生徒によくついていれば避けられた可能性は高く、監督不行き届きのそしりは免れないでしょう。
意外と多い中学の硫化水素事故
ところで中学校の硫化水素事故についてネットで検索してみたのですが、実は意外と多く起こっているのですね。
体調不良を訴えたというニュース記事もいくつかヒットします。
それでもこの実験が続けられるのは、講談社ブルーバックスの記事によると匂いを知っておくことが必要である為なのだそうです。
日常生活の中で遭遇する機会が少なくないため、その匂いが危険であることを実際に嗅いで覚えるのだとか。
なるほど、事故が続いても実験を取りやめるような形にならないのはそういうことなのですね。
しかしその目的なのであれば、教師が実演して安全に発生させ、生徒に吸いすぎないように嗅がせる…といった形でも良いのではないかとも思いました。
結びに代えて
理科の実験は、本来、自然界の驚きや科学の楽しさを知るための場所です。
しかし、それが「恐怖の記憶」や「後遺症のリスク」になっては本末転倒です。今回の津山の事故を、単なる「生徒の不注意」で片付けるのではなく、教育現場における安全管理のあり方を根本から見直す契機にしなければなりません。
