岡山・総社市長肝いり「人とペットの共生条例」 議会は全会一致で否決 市は今後もペット避難所を状況に応じて対応(https://news.yahoo.co.jp/articles/da94920245d9b185c488893bbefc6641901b1130)
総社市議会はペットとの共生を目指す条例案を全会一致で否決しました。
総社市長肝いりとされるこの条例案では災害時のペットの処遇向上を目指し、ペット可の避難所や市職員が行方不明になっているペットの捜索を協力することなどが盛り込まれていました。
否決した総社市議会は冷たい奴ら⁉
ちょっと興味深いニュースだったので、久しぶりに時事ネタを扱ってみます。
このニュースで勘違いしないで欲しいのは、ペットも大事にしたいと願う心優しい総社市長に対し、心無い市議会がNOを突き付けたという内容ではない事です。
総社市長は西日本豪雨での経験から、明文化されていないと混乱を生じると考えて条例化を目指しました。
一方で明文化することで災害時の混乱した状況下でも条例に従ってペットの為の措置を取らなければならない状況も生じます。
とりあえず人が落ち着いて、余力が生じた時点でペットを助けましょう。その余力が生じるタイミングはその時に「臨機応変に」判断する方がいいのではないかというのが市議会の答えです。
二者が向いている方向は同じで、総社市は今後もペット対応の避難所も作るし、市職員が捜索にも協力できるようにします。
今回のニュースではまるで市議会が冷たいように思うかもしれませんが、実際に争ったのは条例で定める必要があるかどうかという事だけなのです。
ペットは家族、しかし…?
個人的にこのニュースで難しいだろうなと思ったのは、ペットを飼っていない層への影響です。
私は17年ほど猫を飼っていたことがあるので、恐らく考え方としてはペットを飼っている家庭…、つまりペットは家族という考え方に近いと思います。
しかしペットを飼っていない家庭も実際には多いわけです。
内閣府の調査によるとペットを飼育していない家庭の割合は65.7%です。平成22年と少し古いデータですが、昨今の市街地の集合住宅の人気を考えると飼育している家庭の割合が大きく増えることはないでしょう。
となると非常時にペットを救出することを条例とすることには、人口の6割強を占める飼育していない層の理解を得るのも難しかったのではないでしょうか。
ニュースサイトのコメント欄ではそういう事をするなら、動物飼育税を導入すべきという意見もありました。
これも方法としては興味深いなと思いました。負担は増えますが、そこからの予算で非常時のペット対応を行うのであれば飼育していない層からの反発も出ないでしょう。
飼育する側も負担は増えるものの、災害時にペットの安全が保障されるなら払う価値はあると思います。その辺りを考えて再度条例化を検討してみるのもいいのではないかと思いました。