TOP>コラム>コラム・岡山の事件簿>57.捕まった獅子頭

『捕まった獅子頭』
ルール違反の獅子頭
1830年に現・岡山市の二日市町で作られた獅子舞の獅子頭が問題になりました。
当時は金銀の装飾を用いることは禁制とされていました。
しかし二日市で作られた獅子頭の前歯に銀が用いられていたのです。
その装飾は見事で、評判となる内に他町にまで聞き漏れるようになり、ついに通報されてしまったのです。
禁制に違反した場合、作った者は入牢、金銀の装飾を用いた対象物は没収となる厳しい決まりがありました。
今回の獅子頭の一件の場合は実際に作った職人や、制作を依頼した町の年寄らがその対象となります。
…が、これは当時の機転によって回避されました。
捕まった獅子頭
結論から言うと、この件で人間は誰も入牢させられる事はありませんでした。
二日市町で禁制に逆らってまで獅子頭が作られたのは、町同士の意地の張り合いで豪奢な物を作ることがエスカレートした結果でした。
その中で御法度と気付かずにしてしまったという事情を考慮し、惣年寄は獅子頭を入牢させるという形で町奉行に妥協を求めました。
町奉行もこの機転を受け入れ、事態は無事に収拾しました。
ちなみに獅子頭は禁錮三十日の刑だったそうです。
関連リンク
写真:獅子舞
写真提供:イラストAC
