『備前と三石の合併時の密約』
備前と三石の合併
岡山県の東側に位置する備前市。
東備に市を発足させるべく、1971年に備前町と三石町が合併して誕生しました。
当初は長船、日生とも合併を協議していましたが、どちらも町民の反対が強く、実現する事はありませんでした。(※日生町は2005年に備前市と合併)
実は新市発足寸前に三石が不満を表明し、あわや協議が破談かという大問題が生じました。
その原因は新市の市長選へ備前町の町長が立候補を表明した事です。
実はこれは備前町と三石町の約束違反だったのです。恐らく新市の名前を備前とする代わりに、三石の方から新市長を出す事などを条件とし、有力候補となるであろう
備前町長が新市の市長選に立候補しない事を約束していたのでしょう。
約束を反故にされた三石側は怒りますし、自分たちのあずかり知らぬところで密約が結ばれていた事実が発覚した町民も怒ります。
あわや合併が流産になりかねない事態になっていたのでした。
意外とある合併のもめごと
合併に際して合併自体やその枠組みについては異論が無い場合でも、他の理由から合併がとん挫してしまうケースは少なくありません。
よく見る事例としては役所の位置があります。役所がある事は自治体内の中心部としてのステイタスもありますし、自然と人の行き来も増えて発展にも寄与します。
なので役所の位置で収拾がつかずに破談というケースは多いのです。
岡山県内でも平成の大合併時に赤磐市の市役所の位置で異論を唱えた瀬戸町が合併協議から脱退しました。
またかつて存在した建部町は建部町(旧)と福渡町が合併して出来た自治体です。
地名は建部町(郡も建部の属する御津郡を選択した)とし、逆に町の中心部となる役所は福渡に置く事で、それぞれ象徴的な部分を分け合って新町を形成しました。
それぞれに故郷を大切に思う気持ちがある以上、市町村合併は簡単ではないのです。
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画像:三石の風景
写真提供:岡山県
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