奈義町の怨念桜
怨念桜とは
奈義町の陸上自衛隊日本原演習場に呪いの桜、怨念桜と呼ばれる桜があります。
この桜には禍々しい言い伝えがあります。
かつてこの地で大根を洗っている農家がありました。
そこを通りがかった僧侶が大根を分けてもらうように頼んだ所、家の下男は土がついたままの大根を渡しました。
僧侶が「この辺りでは泥がついたままの大根を食べるのか」と不平を述べた所、下男は怒って僧侶を殺してしまいました。
その場には供養の為に墓石が置かれましたが、この石に触れると祟りがあると言われ、恐れられていました。
現在、墓石は残されていませんが、同じ場所に桜の木が生えました。
そしてこの桜は墓石と同じように、切り倒そうとするとなにか悪いことが起こると伝えられています。
弘法大師の伝説…
この怪談話を聞いて弘法大師を思い出した人は多いのではないでしょうか。
怨念桜に出てくる土のついた大根のエピソードは弘法大師空海の偉大さを伝えるエピソードとして残されています。
大まかな部分は同じで、空海が農家に大根を所望すると土のついた大根を渡されて憤慨します。
地域によってはその事で農家の人に怒られて石を投げられて負傷するという内容が伝わっていますが、空海が死ぬことは有りません。
空海は土がついたまま大根を食べるなら川は要らないだろうと、川を干上がらせてしまった…というように続きます。全国の水無川によく伝わる民話です。
奈義の怨念桜はこの伝承がどこかで変化したのではないでしょうか。