K駅とは?
金田一耕助シリーズには夜歩くと悪魔の手毬唄にそれぞれ鬼首(おにこうべ)村が出てきます。
これらは同じ地名ですが、どうやら別の村のようです。
今回紹介する『夜歩く』の方の鬼首村は鳥取県との県境にあり、悪魔の手毬唄に登場する鬼首村は兵庫県との県境辺りという設定です。
県の北東部に位置する可能性もありますが、表現を変える必要もないでしょうし、後述する諸条件とも合致しません。
では、ここからは作品中に出てくるヒントから、夜歩くに出てくる方の鬼首村の所在地を考えていこうと思います。
まず最初のキーワードは主人公が友人の住む岡山の家を訪ねていったK駅です。
このK駅は姫新線の駅で、正確にはK駅ではないものの旧・勝山町(現・真庭市勝山)にある中国勝山駅であるという意見が強いようです。
中国と冠してあるのは、先に福井県へ勝山駅があった為に同名の駅にならないためであり、単に勝山駅と呼んでいるという見方も可能でしょう。
周辺の交通の要衝と言える駅なので『思ったより賑やかで、数人の旅行客が下車した』という事や、その先に進む道の描写からも、中国勝山駅をK駅でいいのではないでしょうか。
鬼首村はどこにある?
駅で仙石直記と合流して牛車に乗ると、山間の道を川に沿って進んでいきます。
この川は本文中にも出てくるように旭川です。
中国勝山駅も旭川のすぐそばにあるので間違いないでしょう。
中国勝山駅辺りから旭川を見ると、本文にあるように大きな岩が沢山あります。
そして鬼首村はそこから3里、12キロ弱の場所にあります。
実際に旭川沿いを12キロ弱進んで行き着くのは、旧・湯原町の足(たる)温泉付近です。
湯治の為にお湯を樽に詰めて贈ったという伝説のある温泉地です。
ではそこが鬼首村なのか…というと、もう一つ旭川の支流で新庄川を沿って進むルートも考えられます。
こちらを通って約12キロを進んでみると首切峠付近に行き着きます。
一揆の際に斬首刑にされた人の首をさらした場所と伝えられています。
謂れを考えてみても、この場所の方が夜歩くの鬼首村に相応しく感じました。
作品中に所在地の決定打となる描写は登場しませんが、足温泉付近と首切峠付近…あなたが読んだ時に思い描いた鬼首村はどちらに近いですか?
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写真:六島東大
写真提供:岡山県