【感想】赤毛組合-The Red-Headed League/シャーロック・ホームズの冒険


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ホームズシリーズの中でも、ユニークな設定と奇抜なトリックを兼ね備えている事で人気の『赤毛組合』です。
この作品の中で用いられたテクニックは後に【赤毛トリック】と呼ばれるようになりました。

どんな作品?

前述の通り、ホームズの作品集などでは定番の人気作です。
詳しくは後述しますが、謎の組織や闇に潜んで犯人を待ち伏せるなどの探偵小説の醍醐味がぎっしりと詰まった内容です。

児童向けの図書としてホームズ作品が発表される際も定番です。

シャーロック・ホームズシリーズの中でも最も判りやすい類の事件で、だけど奇抜で読者もあっけに取られること間違い無しです。
著者のコナン・ドイル自身のお気に入り作品でもあり、自薦では第二位に選ばれました。

あらすじ

依頼人は赤毛の人間である事を条件とした、求人募集に誘われて赤毛組合に入ったという稀有な体験の持ち主だった。

面接会場へは街中の赤毛が集まっていたが、依頼人はその中で選ばれた幸運な一名だった。
決められた時間内で辞書を書く移していくという単純作業に対して、割のいい収入が得られるという不思議な仕事で、依頼人は順調に稼いでいった。
しかし、赤毛組合は唐突に解散してしまう。
彼にとっては良い稼ぎがなくなってしまったのだが、実はその背後では恐るべき犯罪の準備が進められていたのだった。
…彼が巻き込まれる事件とは?




ネタバレ等は続き以降で。

赤毛トリックとは

赤毛トリックに掛からなかった方は判りづらいと思うので、赤毛組合のネタバレと同時に赤毛トリックとは何なのかも紹介していこうと思います。

赤毛組合は露骨に怪しい組織ですが、これは当然犯罪と関係しています。
依頼人の家から銀行までの地下トンネルを作る事を画策した犯人グループは、家主を家から追い出す事を思いつきました。
赤毛組合は依頼人を疑われることなく家から追い出し、束縛する為の隠れ蓑だったのです。
家主がいない間に銀行へ続くトンネルを掘り、それが完成した為に赤毛組合は用済みとなった為に解散したのです。

このトリックのポイントとしては、やはり読者も騙される点にあると思います。
赤毛連盟という謎の組織の正体が明らかにされていく作品かと思いきや、実はただの隠れ蓑でしかなかったのです。
犯人グループとしては赤毛組合のような大掛かりな仕掛けをしなくても、旅行に行くように仕向けるなどでも目的は達成できるはずです。
そこにあからさまに怪しい赤毛組合という組織を持ち出すことで、犯罪計画から読者の目さえも背けさせてしまったのです。