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『こちゃえの火事は実際の出来事だった!』
こちゃえ(備前太鼓唄)とは
岡山市内で行われる秋祭りで歌われるのが備前太鼓唄、通称こちゃえです。
だんじりの上で鳴らされる太鼓の音頭に合わせて歌われている民謡で、岡山市街地付近で演奏されます。
歌詞は以下のように始まります。
備前岡山 西大寺町 大火事に
今屋が火元で五十五軒 コチャ
今屋が火元で五十五軒 コチャエ コチャエ
(以下略、地域によって差異有り)
賑やかなお祭りの雰囲気に紛れて気づきづらいですが、こうして文字で見ると少し重たい感じのする内容だと思いませんか?
今屋の火事
こちゃえで歌われている出来事は、1834年、実際に岡山市内で起こった通称・今屋火事の事を指します。
発生した場所も歌詞の通り、西大寺町の辺りでした。
西大寺町に今屋という店は幾つかありましたが、下駄を扱う今屋と玩具を扱う今屋付近から出火したそうです。
資料によって若干の数字のブレが見られるものの、この火災で全焼、半焼、取り壊し含めて60軒程が被害に遭いました。
特に砂糖を扱っている今屋の被害は甚大です。
女性や子供の計5名が自宅の蔵の中に避難しましたが、保管していた砂糖に火がついて、その中で死亡しました。
砂糖の蔵で起こった悲劇だったため、飴だき五人心中と呼ばれました。
こちゃえと今屋火事
こちゃえの中で今屋火事の事が歌われるようになったのは、亡くなった5人への供養の意味を込めたものだったそうです。
高熱で近づく事が出来ず、助ける事が出来なかった5人の安らかな眠りを祈って、秋祭りの際に太鼓の音頭と共に歌われているのです。
もし秋祭りでこちゃえを聞く事があれば、そんな歴史もちょっと思い返してみて下さいね。
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画像
『現在の西大寺町付近』(撮影:岡山の街角から)

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