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合併

よみがえる地名

消える地名、よみがえる地名


 地名の話題としては市町村合併や改称などで失われる事がピックアップされがちですが、一方で旧地名の復活も少なからず起こっています。
 厳密には市名や住居表示へ用いられるかどうかであり、地名として消滅せずに親しまれ続けたからこその再登用といった方が正しいのかもしれません。

 この流れの走りとなったのは石川県金沢市の「主計町」です。
 1970年に尾張町2丁目の一部とされ、住居表示からは消滅しました。
 加賀藩士・富田主計の屋敷があった事に由来する歴史のある地名で、重要伝統的建造物群保存地区にも指定されています。
 金沢市では「旧町名復活審議会」を設置し、旧町名の復活事業を推進しています。地名の復活においては全国をリードする存在と言えそうです。

 2018年には東京でも旧地名が復活しています。神田三崎町神田猿楽町です。
 千代田区の前身の一つに神田区があり、千代田区発足時に旧神田区の地名には神田〇〇として旧区名が冠されました。しかし神田三崎町は1967年に、神田猿楽町は1969年にどちらも神田の表記を外していました。
 旧神田区内では一丁目と二丁目が神田を冠さずに三丁目のみ神田を冠する鍛冶町、一部だけ神田を冠したまま残された岩本町(神田岩本町)といったユニークな例もあります。

実現せず、信州県


 過去に県単位で旧地名の復活が行われようとした事例があります。
 それが長野県の「信州県」への改名構想です。

 改名の目的は長野よりも知名度が高い信州を県名とする事による主に観光面のメリットの享受です
信州は旧国名の信濃国の別称で、鎌倉時代にはその呼び方が確認できます。対する長野は戦国時代の1570年に初めて確認される地名なので、これも旧地名の復活の一環と考えていいでしょう。

 しかし実現へ向けた具体的な動きはなく、構想を提案した田中康夫知事も2006年に退任しています。




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