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同名

同じ名前の市は…?

実は激レア、同じ市名


 日本には792の市があります。(2023年5月時点)
 しかしこれだけの市があっても、同名の市名というのはほとんど存在しません。

 これは国が同名の市名を認めない方針を打ち出している為です。

 法律ではなく通達という形で記されており、「新たに市となる普通地方公共団体の名称は、既存の市の名称と同一となり、または類似することとならないよう十分配慮すること」とあります。
 ちなみに西東京市の合併の際には「同じ表記で読み方が異なる場合」を不可としています。(例:既存の日向"ひゅうが"市があるのに対し、日向"ひなた"市を作ろとする場合)
 逆に漢字が違えば読み方が同じ市は可とされています。こちらは鹿島市と鹿嶋市、山形市と山県市など複数の事例があります。

 これらの事から考えると、国は人口の多い(新設の要件5万人以上)市で重複する漢字の名称が存在することで事務処理や郵便などへ混乱が生じることを懸念しているのでしょうか。

同じ市名はいくつある?


 現在の日本に存在する同名の市は2組、4市です。

 ・府中市

 東京と広島にある市名です。
 二者は同時期に申請を行っています。東京が申請は先ですが、広島の方が一日早く市制施行日を設定していました。
 そしてどちらの府中も申請を行った時点では他に府中市はありません。
 この辺りの事情を考慮したのか、2つの府中市が誕生することになりました。

 ・伊達市

 2例目は北海道と福島にある市名です。
 先に存在したのは北海道の伊達市です。地名は仙台藩主伊東家の家臣である亘理伊達家が入植した事に由来します。
 対する福島の伊達市はその亘理伊達氏の初代当主・伊達成実の出身地であることに由来します。

 合併に際して福島側の伊達市は総務省に接触し、「既存の市から異論がなく、 意思疎通を十分にとれば支障はない」との回答を得ました。そして北海道の伊達市からも反対の声はなく、2つ目の伊達市が誕生しました。
 先に存在する市との調整は決して容易ではなく、鹿嶋市、みよし市はそれぞれ既存の市である鹿島市と三好市が反対の立場を採った為に文字を変える事になりました。

 地名に関する本などでは同じ伊達氏に由来する地名である事から拒否しなかったと書かれています。実際は北海道の伊達市も市町村合併の協議を進めており、伊達市を改称する方向だった事も反対しなかった一因だったようです。
 


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