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地名の由来:建部町桜
花は散れども、石は咲く|地名「桜」の意外なルーツ
桜地区を歩く
岡山市北区建部地域には、その名も「桜(さくら)」という、なんとも風情のある地名が存在します。
四方を山に囲まれた谷間に広がる細長く続く地区です。地区内には田畑が並び、その合間を縫うように農家の方の物と思われる家々があります。
周辺で桜の名所といえば「建部の森公園」などが思い浮かびますが、実はこの地名、春に咲くあのピンク色の「木の花」とは直接の関係がありません。
由来は「川底に咲く石」
「桜」という地名の本当のルーツは、植物ではなく「石」にあります。
この地区を流れる桜川。その谷底には、桜色に近い、可憐な花形の模様を持つ岩盤が広がっています。
これが「桜石(さくらいし)」と呼ばれており、この美しい石が存在することから「桜川」という川の名が生まれ、やがて地域名も「桜」と呼ばれるようになったのだそうです。
桜ずくめの桜地区
この地区にある神社も、期待を裏切らず「佐久良(さくら)神社」の名を冠しています。
興味深いのは、その祭神です。
お祀りされているのは、木に咲く花のように美しいと称えられた女神、木花咲夜姫命(このはなさくやひめのみこと)です。
「桜石」という大地の恵みから始まり、川、地名、そして女神を祀る神社まで。この場所は、まさに上から下まで、そして歴史の深層まで「桜」という言葉で満たされているのです。
建部町桜を訪れる際、私たちはつい空を見上げて桜の花を探してしまいます。
しかし、この地の本当の魅力は、悠久の時を経て川底に刻まれた「石の華」にあるのかもしれません。
次に建部町桜の地を歩くときは、ぜひ足元の川面を覗き込んでみてください。そこには、春が終わっても決して散ることのない、もう一つの桜が咲いているはずです。




