
備北と備南ってどこ?
このページでは岡山県の備北、備南とはどの地域を指しているのかを考察しています。
それぞれの答えとなる定義を挙げていますが、決して「備北」と「備南」は絶対的にこういうものである!と決めつけるものでは有りません。
一つの意見としてご覧頂ければ幸いです。
備北ってどこ?
岡山県の地域を指す言葉に「備北」があります。
今回はこれが何処を指すのか調べてみました。
まず岡山県大百科事典(山陽新聞社)を調べてみたところ、下記のような内容が記されていました。
・岡山県の北西部を占め、備中国の北部をいう
・上房郡、川上郡、阿哲郡を指した(備北3郡)
岡山県大百科事典は岡山県に特化されている事典なので、他の資料を調べてみたところ、世界大百科事典(平凡社)に下記の内容が掲載されていました。
・岡山県北西部
・広島県東部の北半部
つまり備北というのは、旧国名の備中と備後の北部を指しているようです。
旧吉備国の内で備前の北部が備北に含まれていないのは、備前の北部が美作に分割された為と考えられます。
備北を定義づけてみよう!
なので備北については下記の2つの定義を作れそうです。
・狭義の備北(備北は岡山と広島にそれぞれある)
岡山県では備中国の北部を指す(県北西部)
広島県では備後国の北部を指す(県北東部)
・広義の備北(備北は県境を超えた広域地名である)
備中国と備後国の北部(岡山県~広島県にかけて)
普段に「備北」という言葉を使う場合は、それぞれの県の北西部(岡山県)や北東部(広島県)を指して使っているものと思っていいでしょう。
しかし広い意味で岡山県北西部~広島県北東部にかけての県境を超えた広域地名として用いる事も出来る言葉であるとも考えられるでしょう。
更に岡山県内の定義はどうなのか?について調べてみました。
岡山県で備北という地域を特別に指定する事はないようですが、近い分類として備北保健所という組織があります。
備北保健所の管轄は新見、高梁の2市です。
これが岡山県内の備北の定義に近い枠組みなのではないでしょうか。
先に挙げた岡山県大百科事典にある上房郡、川上郡、阿哲郡を備北3郡とする定義からすると、この二市に加えて吉備中央町の一部、井原市の一部も加わる事になります。
備南は?
備北の対になる「備南」もよく聞く言葉です。
備南についても岡山県大百科事典に項目があります。
岡山県大百科事典は平成の大合併以前の物なので、現在の市域で書き換えてみましょう。
・岡山市、倉敷市、玉野市の3市を中心に、早島町、総社市、赤磐市、瀬戸内市を含む場合もある
備北の時と同様に世界大百科事典でも調べみました。
・岡山県の南半を占め,面積で約40%,人口で約80%を有する。
備北の時とは違って具体的な自治体名や市、郡が挙げられていません。
しかし人口比や、その後の記載で岡山市、倉敷市、吉備中央町、笠岡市に関する内容がある事から、世界大百科事典は単純に岡山県の南部を備南としているようです。
備南を定義づけてみよう!
2つの資料を見る限り、備南は備北ほど細かな定義はないようです。
ややファジーな感じで岡山県南部を指している言葉であると考えて良いのではないでしょうか。
尚、どちらの資料でも触れられていませんが、広島県の備後国の南部も備南と呼ばれているようです。
電話帳を検索してみたところ、備南を冠する会社名などが見えてきます。
なので備北は備中や備後(又は双方)の北部を指しますが、備南はそれと対となる言葉では決して無く、吉備国の南部という意味合いで考えた方が実際に近いのかもしれません。
wikipediaの備南
ちなみにインターネットのフリー百科事典であるwikipediaには、これらとは違った記載がありました。
・備中国の南部の意味で、備中国南部、つまり岡山県南西部の一帯を指す地域名である。
該当する市町は備中県民局の管轄の自治体が挙げられています。
そして広義の用い方として、岡山市内にある備中国だった地域を含める場合もあるとの記述がありました。
この備南について記載したページには論拠となる参考文献についての記載はありません。(2021年3月時点)
これは個人的な憶測ですが、「備北があるのは備中国の範囲なので、その対となる備南も備中国の範囲である」という考えに基づいているのではないでしょうか。
確かに備北がない備前地域を備南と呼ぶのは違和感があります。
しかしこれについては微妙な所があります。
例えばJA岡山の備南支所は備前国の範囲内である岡山市南区西七区にあります。
更に電話帳を調べてみても「備南」とつく社名は、岡山県大百科事典の記載にあるように、倉敷の他に備前国の範囲である岡山市、玉野市にも多く見られます。
これは伝統的に備南という言葉がこられらの地域も含んで用いられてきた名残ではないでしょうか。
このページの趣旨は他の方の意見とぶつからせることでは有りませんので、これ以上は掘り下げません。
しかし実際の用いられ方を見る限りでは、岡山県の「備南」と呼ばれる地域は、wikipediaの備南よりも広い範囲になるようです。