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【岡山の教育】学生の偉人認知度調査から見る、歴史継承のリアルと「知る」ということ

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偉人の名前と、私たちの記憶|認知度調査が突きつけた問い

犬養毅や緒方洪庵の<ゆかりの地>はどこ?…地元市議会が調査、低い認知度に「歴史の継承がうまくできていないのでは」

https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20260701-GYO1T00125/

岡山市の市議会が市の偉人の知名度についての調査を行いました。
対象は小学5,6年生と中学生のグループ5,554人と、高校生のグループ818人です。
調査方法はあらかじめ設定された41名の内から選ばれる事と、岡山市に縁のある人物である事です。

小中学生の部

・ 1位:犬養 毅

元総理大臣の犬養 毅が1位です。
後に触れますが、高校生グループでも1位です。
歴史の授業で習う事や、「話せばわかる」というキャッチ―なフレーズで印象的な事もあるのでしょう。
出身は岡山市北区川入で、国の重要文化財に指定される生家には、隣接して犬養木堂記念館が作られています。

認知度は43%。

2位:藤田傳三郎

児島湾の干拓事業を民間の立場でありながら行った人物です。
お祭りの名前にもなっており、藤田の周辺の小学生は本当によく名前やその事業について知っている印象です。

藤田神社に像や顕彰碑もあるので、その辺りで知ったという人も多そうですね。
認知度は37.2%。

3位:緒方洪庵

こちらも歴史の授業で習う人物です。
蘭学塾の「適塾」を主宰、福沢諭吉ら輩出した事が知られます。
また天然痘の治療においても著名で、故郷岡山においてもその事業が行われています。

犬養 毅のように観光地化はされていないものの、生誕地には像が作られるなど整備されています。

認知度は31.5%。

4位:人見絹枝

陸上競技において、日本人初の女性メダリストとなったアスリートです。
まだ女性の活躍が評価されづらかった時代、その改善の為に奔走した事でも知られます。

早世されましたが、後の時代に登場する有森裕子らがリスペクトを公言しており、そうした新世代アスリートの活躍からも再注目される機会の多い人物です。

認知度は16.8%。

5位:ローウェンホルスト・ムルデル

すいません、一瞬「…誰?」と思ってしまいました。単に「ムルデル」という表記で紹介される事も多いオランダ人の土木技師です。
明治期に日本で活躍したお雇い外国人の一人で、岡山においては児島湾干拓事業とケレップ水制が知られています。

児島湾干拓事業においては、児島湾の大規模な干拓工事を提案しました。政府でも手を出せなかったその事業に着手したのが、2位に名前のある藤田傳三郎率いる藤田組でした。

認知度は15%。


という事で、ここまでが岡山市内の小学生高学年~中学生までの認知度です。
個人的には5位は意外な人物でしたが、恐らく岡山市の公立校では児島湾干拓事業について伝える機会、時間を設けているのでしょう。

他の面々を見ても、個人的な興味・関心というよりは学校教育で登場したんだろうな…と思う顔ぶれといった印象です。
同記事では松田隆之委員長の声として認知度の低迷に歴史の承継が出来ていないのではないかという意見を紹介していますが、この結果を見るにつけ、それを改善するのは学校教育なのだろうなと思いました。

最初にピックアップされた偉人の面々が記事中では触れられていませんでしたが、例えば小学館の創業者である相賀武夫とか、横綱になった常ノ花とか、比較的低年齢層でも理解しやすい偉人が岡山市にはいます。こういった人物がラインナップされていたのか、いたならどれくらいの順位だったのか…とか、色々と気になる結果でした。

では続いて、高校生の部を見ていきましょう。

高校生の部

第1位:犬養 毅

小中学生の部の方の記事でも触れましたが、どちらの部においても1位を獲得したのは犬養 毅でした。
これに関しては総理大臣経験者であると同時に、殺害された事や、その際に発したとされる「話せばわかる」というフレーズなど、記憶に残りやすい人物であることが挙げられます。

認知度は96.8%、ほとんどの高校生が知ってます。

第2位:人見絹枝

小中学生の部で4位だった人見絹江が第2位です。
こちらもやはり有名ですね。テレビのドキュメンタリー番組などで取り上げられることもありますし、近年であれば大河ドラマの「いだてん〜東京オリムピック噺〜」でも紹介されました。
年代的に大河や、それに伴う各種メディアで紹介されたのを目にしたりしていたことで、認知度が引き上げられた可能性もありそうです。

認知度は86.1%。こちらも驚異的な高さです。

第3位:江田五月

小中学生の部では5位までに登場しなかった政治家の江田五月が3位に入りました。
衆議院議員と参議院議員を共に4期ずつ務めました。

民主党政権下では法務大臣と環境大臣を歴任。出身は岡山市中区で、今でも立派な邸宅があります。

認知度は85.8%と、人見絹枝に匹敵する高い数字です。

第4位:坪田譲治

児童文学で知られる作家で、市街地に生家跡の石碑があります。
作品としては善太と三平や風の中の子供といった人気作があります。ただ作品の対象年齢としては寧ろ小中学生の部の方に名前が出てきそうですが、上位5位には入らず、高校生の部での登場となりました。

幼い頃に坪田譲治を通ってきて、少し大きくなってそれを書いた人物を認識し始める…といったところでしょうか。

認知度は75.2%。ゲームやYouTubeなどの動画が娯楽の中心にあるような時代で、児童文学の作家にこの数字があるのはホッとしますね。

第5位:緒方洪庵

小中学生の部の方で3位に入った緒方洪庵が第5位です。
適塾はテストに出るから覚えとけよー…な世代だと思います。

認知度は74.4%


という事で、ここまでが高校生の部の上位5位まででした。

誤解のないように触れたいのですが、江田五月さんの認知度の高さは「え?」と思うレベルでした。
国政を引退したのが2016年です。大臣を務めたのが2011年で、このアンケートに回答している高校生らはまだ小さな子供だった頃です。
なんでこんなに認知度が高いのか…、ちょっと不思議になりました。人物としては非常に上品で、素敵な人でしたけどね。

他に関しては小中学生の部と比べて順位が少し変わったりしている程度で、概ね同じでしたね。
認知度に関してはグッと高まり、小中学生の部の5位の認知度が15%だったのに対し、高校生は74.4%と高い数字を保持しています。

正直、これは人間としての熟成度の違いかなとも思います。
まだ小中学生だと過去の偉人にまで興味が向かないというか、それを以て認知度が低いと危機感を抱くのは尚早なのかもしれません。
まだ幼い頃に知らない、詳しく認知できていないなどという状況だとしても、大人になっていくにつれて、その背景などをきちんと把握していくのであれば、それはそれでいいような気もします。歴史とは、そうやって長い時間をかけて自分のものにしていく「教養」ではないでしょうか。
例えば藤田傳三郎さんなら、子供の頃は凄い大きな工事をしたんだなーくらいにしか思っていなくて、でも徐々に大人になって、社会人になってみて、政府も手を出せないような難事業にお金を投じる事の覚悟や、それを周囲に理解させる難しさなど、更に深みを帯びて共感、尊敬できるようになっていくものです。
だから、焦らなくても大丈夫…、そんな風に感じました。




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岡山生まれ、在住歴=人生。興味がある場所は歩いて見に行く「まち歩き」実践者。 郷土史だけでなく、地域グルメの歴史や廃線跡などの隠れた観光スポットを特に深掘りして発信。現在から過去まで網羅する岡山の情報サイト。 サイト開始:2002年~。25年以上の運営実績。

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