2021年は久しぶりの新見でした。
この時の目的の一つが新見駅前のたまがきと祐清の像を撮影する事でした。
レトロな雰囲気の新見駅。
(関連リンク:新見駅-駅名になった地名の由来)
入り口のすぐ近くに像があります。
まずはたまがき。
中世の新見に実在した女性です。
高い身分の女性というわけでも、何か特別な業績や文学作品を残した訳ではありません。
しかし彼女がこうして像になるのは、寧ろそういう女性だった為です。
こちらは祐清。
東寺から直務代官として新見に派遣されてきた僧です。
祐清は生真面目な性格だった考えられており、年貢を未納にしている者に対しては厳しい姿勢を取っていました。
しかし厳しい取り立てや地元の名主である豊岡を追放する等、その仕事ぶりに新見では不満が募っていました。
そして追放した豊岡の親族が差し向けた男たちによって殺害されるという事件が起こりました。
たまがきは祐清の身の回りの世話をしており、死後は葬儀や遺品の整理の手配をしています。
その事について東寺へ伝える手紙が現存しており、これが中世の農村に住む女性が書いた貴重な文書(たまかき書状)として知られています。
地方に住む普通の女性が書いた文書だからこその価値なのです。
たまがきは書状の中で祐清の身の回りの品を幾つか形見に貰えないか打診しており、この事から祐清に対して恋心のような感情を抱いていたのではないかとも言われています。
だから祐清の像も近くに設置されているのでしょう。
関連リンク:たまかき書状のたまがきについて