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議論

『大日本勧業博覧会で紛糾、エロか芸術か!?』

大日本勧業博覧会でまさかの議論


 1928年に岡山市が主催で大日本勧業博覧会が開催されました。
 市制40周年記念の産業博覧会です。

 日本や当時の委任統治下にあった国々の物産などを展示しました。
 開催期間は2か月、3会場で行われ、展示品は数十万を数え、来場者は約133万人とされ、当時の岡山県の人口を大きく上回りました。
 現在に至るまで岡山市で開催された最大の博覧会とも言われています。

 この博覧会の美術展で、ちょっとした議論が巻き起こりました。
 岡山市出身で博覧会の顧問を務めた画家・鹿子木孟郎の作品が露わすぎるのではないかとされたのです。展示された作品の「水かがみ」は裸の少女を描いた作品で、リアルな作風に陰毛までしっかり描きこまれた力作でした。

 エロなのか、それとも芸術なのか。
 思わぬ議論に岡山市も頭を抱えた事でしょう。

対策は…?


 この作品がほかの画家であれば事情を説明して展示を取りやめるなどの対処が出来たのでしょうが、前述の通り博覧会の顧問を務めている上に地元出身の画家の作品という事でそれも難しかったようです。

 そこで岡山市は光が当たりづらい場所に作品を移動させるという方法を取りました。作品自体が目立たない事や、見づらさから少しでも露わな感じが軽減できればと考えたのでしょう。

 水かがみは同氏の作品で代表作という訳ではないようで、この記事を書いている時点でネット検索をしても見る事は出来ませんでした。
 裸婦画としては白薔薇という作品はネット上で見られるので、気になる方はその作品で作風を感じ取り、当時の議論に思いを馳せてみて下さい。


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画像:岡山市街地
写真提供:プランク様





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